議会における国王

議会における国王の概念

イギリスの議会システムにおいて、「議会における国王」（King-in-Parliament）とは、国王または女王が議会の一部として、立法を行うために必要な要件を持つことを指します。この用語は、主に英連邦王国において使われ、議会の下院と上院（または一院制の場合は立法府）の助言および承認を得て法案を成立させる立場にある君主を示します。

法案は両院で可決された後、国王の承認を得るために送られ、その結果、国王の宣言があれば法案は法律（act of parliament）として成立します。この国王裁可が与えられると、その法案は正式に法律として効力を持ちます。興味深いことに、法律の中には、さらなる立法権を付与する規定も含まれる場合があります。これにより、二次立法と呼ばれる法律も国王によって成立することができますが、この際は議会の同意や不同意が必要とされます。

国王は、議会の一部として見られるため、これは権力融合（fusion of powers）の考え方と密接に関わっています。この考えは、政府の執行部門と立法部門が相互に関連し合っているというもので、ウェストミンスター・システムにおける根本的な理念です。これに対照的なのが、大統領制があります。米国やフランスなどの大統領制では、大統領は議会の一部ではなく、法案を法律として成立させるための承認が必要です。

英連邦王国における「国王」や「女王」という表現には、最終的な主権は君主にあり、それを選出または任命された職員に委任するという憲法的な理解が反映されています。このようにして、連邦制を持つ英連邦王国では、国王や女王は地域ごとに異なる立法機関に関連しており、それぞれ独自の権限を持つと考えられています。

例えば、オーストラリアやカナダの州では、国王の権限はその国の特定の地域に限定されるため、そこでの法的な枠組みが形成されます。カナダの州と準州の間には明確な法的区別があり、準州の立法機関は国王から直接権限を得るのではなく、連邦議会から委任された権限に基づいて機能しています。また、地方政府における権限も、上位の政府から一方的に改正される可能性が高いため、「議会における国王」という表現は通常使用されません。

法律の策定に関して、国王の立場は重要です。法案の内容には、国王が他の議会メンバーと共に言及されることがあります。たとえば、イギリスの法律文書はしばしば次のように始まりますが、これは議会法沿って国王が関与していることを示唆しています。一方で、1911年及び1949年に制定された議会法の規定によれば、貴族院の承認がないまま法案が可決された場合は、この表現が異なる場合もあります。

カナダでも同様のアプローチが取られ、法律文には国王の名前が明記されることは少ないです。オーストラリアやツバルのような国々では、「オーストラリア議会が制定する」といった形式で国王を直接言及せずに法案が通過しています。これは、国王と議会の役割が異なることを示す要因ともなります。

スコットランド議会では、国王の裁可が必要であるものの、「議会における国王」の概念は採用されていません。スコットランド議会の法律は、その正式な題名の下に特定の文言を記すことで成立の背景を示しています。

このようにして、国王が議会の一部であるという考え方は、英連邦王国における法律と政府の相互関係を理解する上で極めて重要です。

もう一度検索