護国団

護国団の概要

護国団（ごこくだん、ドイツ語: Heimwehr）は、1920年代から1930年代にかけてオーストリア国内で活発に活動していた右翼系の準軍事組織です。一般的には「郷土防衛軍」とも訳され、当初は第一次世界大戦後の外国からの報復行為に対抗する目的で義勇軍の形を取って設立されました。しかし、時が経つにつれて、その活動の対象は広がり、オーストリア社会民主党などの社会主義勢力に対しても武力行使を伴う攻撃を行うようになりました。

歴史的背景

1930年代には、護国団は少数ながらも議会に進出し、共和国政府内での連立政権とも関わりを持ちました。しかし、オーストリア・ナチスとの権力争いに敗北し、その後の1936年には、当時与党であったクルト・シュシュニック内閣の政権強化策の一環として、事実上解体される運命を辿ります。

護国団の最大の弱点は、その政治理念の欠如にありました。組織は主に地方の農民層やカトリック層を基盤にしており、彼らの共通認識には「反社会主義」「反ウィーン（都市）」「反新興階級（労働者・都市中間層）」との要素がありました。しかし、大多数の団員は地域の安全や秩序の維持に強く関心を示しており、既存の政府を倒し、新たな政府を樹立しようという意欲には乏しかったのです。

このような団員の中には、団員数が40万に対し、実際の活動を行うメンバーは約3万という評価があったことは決して矛盾しているわけではなく、むしろ「保守的」「カトリック的」な理念に基づき、現状の維持を求める団員が多かったことの表れだと言えます。

社会情勢の変化

一方、世界恐慌が影響を及ぼした中で護国団はその姿勢を変えず、これに失望した若い世代は新たな変革を求める気持ちを抱くようになりました。彼らは、より強力なスローガンを掲げ、活発に活動するナチスに魅力を感じ始め、次第に護国団からの離反者が増加し、ナチスへの転向が見られるようになりました。

護国団はその後の歴史において重要な役割を果たすことにはならなかったものの、当時のオーストリア社会における政治運動や思想の変遷を理解するための一つの鍵となる存在であったと評価されています。

関連組織

護国団と同時期に活動していた組織には、ドイツ義勇軍（フライコール）や鉄兜団、前線兵士同盟といった右翼系の類似組織があります。これらの組織との関係性や相互作用も、護国団の活動を理解する上で重要な要素となります。

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