谷崎潤一郎賞

谷崎潤一郎賞について

谷崎潤一郎賞（たにざきじゅんいちろうしょう）は、中央公論社が1965年に創設した文学賞です。本賞は、小説家である谷崎潤一郎の名に由来し、文学界における優れた作品を称えることを目的としています。この賞は、中央公論新人賞の発展的な解消により生まれ、1965年の創業80周年を記念して設立されました。その後、中央公論新人賞は1975年に復活し、さらに20年間にわたって続けられました。今回の賞は、特に時代を代表する優れた小説や戯曲を対象としており、毎年選考が行われています。

谷崎潤一郎賞の受賞作の発表は年に一度行われ、選考結果や選評は『中央公論』という雑誌に掲載されることになっています。受賞作品は、選考委員の合議によって決定されるため、非常に厳格な選考過程を経ています。また、受賞者には時計が正賞として授与されるほか、副賞として100万円が与えられます。初回の受賞者には別の賞牌が渡され、副賞も50万円であったことから、年月が経つにつれてその価値も変化してきたことが窺えます。

受賞作一覧

谷崎潤一郎賞はその創設以来、多くの著名な作家たちに受賞されてきました。具体的には、初回の受賞作は小島信夫の『抱擁家族』であり、多くの候補作も挙げられました。その後も遠藤周作の『沈黙』、安部公房の戯曲『友達』や大江健三郎の作品など、各回の受賞作は日本文学において重要な位置を占めています。

第1回から第10回の受賞作

1. 第1回（1965年） 受賞作：小島信夫『抱擁家族』
2. 第2回（1966年） 受賞作：遠藤周作『沈黙』
3. 第3回（1967年） 受賞作：安部公房『友達』（戯曲）
4. 第4回（1968年） 受賞作：なし（候補作も多数）
5. 第5回（1969年） 受賞作：円地文子『朱を奪うもの』『傷ある翼』『虹と修羅』
6. 第6回（1970年） 受賞作：埴谷雄高『闇のなかの黒い馬』
7. 第7回（1971年） 受賞作：野間宏『青年の環』
8. 第8回（1972年） 受賞作：丸谷才一『たった一人の反乱』
9. 第9回（1973年） 受賞作：加賀乙彦『帰らざる夏』
10. 第10回（1974年） 受賞作：臼井吉見『安曇野』

このように、谷崎潤一郎賞はその歴史を通じて、日本文学に多大なる影響を与えてきました。特に、受賞者はその作品によって文学に新たな価値をもたらし、日本文学を豊かにする貢献を続けているのです。さらに、受賞作は文学が持つ多様な魅力や文化的意義を示す重要な指標として、今後の作品選びにも大きな影響を与えることでしょう。

歴代選考委員

各回の選考は数多くの著名な作家や文学者によって行われています。第1回から第5回までの選考委員には、伊藤整、大岡昇平、武田泰淳などが名を連ね、文学界の権威が集結していました。現代においても、著名な作家による選考が続いており、その選考基準や視点の多様性が文学賞の信頼性を高めています。

このように、谷崎潤一郎賞は日本文学を代表する賞の一つとして、文学の発展と作家たちの創作活動を支援し続けているのです。

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