谷川一彦

谷川一彦：原爆とアニメ、二つの世界を描いた軌跡

谷川一彦（1936年 - 2008年）は、広島県出身の漫画家、アニメーターです。彼の作品は、被爆体験に基づいた原爆をテーマにした漫画と、アニメ制作という二つの側面を持っています。

原爆を描いた漫画家

1945年8月6日、谷川は広島で被爆しました。父は原爆投下により行方不明となり、自身も黒い雨を体験しました。この経験が、彼の漫画制作に大きな影響を与えます。1957年、彼は月刊誌『なかよし』で、原爆で両親を失った少女を描いた漫画「星はみている」を連載しました。この作品は、原爆を直接描いた漫画としては、白土三平の「消え行く少女」（1959年）よりも2年早く、中沢啓治の「黒い雨にうたれて」（1968年）よりも11年早く発表されたものでした。

「星はみている」以外にも、彼は原爆をテーマにした作品をいくつか発表しています。これらの作品は、原爆の悲惨さを伝えるとともに、人々の心の傷を描き出しています。彼の作品は、原爆漫画の先駆けとして、高く評価されています。

アニメーターとしての活躍

谷川は漫画家として活動する傍ら、アニメーターとしても活躍しました。1961年に虫プロダクションに入社し、テレビアニメ『鉄腕アトム』や『W3（ワンダースリー）』などの作画を担当しました。

手塚治虫の原作漫画の作画も担当し、アニメファンや漫画コレクターの間では、以前から注目されていました。

その他の活動

1950年代から、『漫画少年』、『冒険王』などに漫画を発表していました。1952年には『冒険王』で雑誌デビューを果たし、その後も『なかよし』、『少女クラブ』、『幼年ブック』などに作品を発表しました。

1970年代に広島に戻り、2008年に亡くなりました。2010年には、広島平和記念資料館で彼の作品展が開催され、改めてその功績が讃えられました。

谷川一彦の作品

星はみている
ほくろが3つある!
海はしってる
大都会メトロポリス（作画）
W3（ワンダースリー）（作画）

参考文献

谷川 一彦、山田 英生 (編)：「原水爆漫画コレクション2 閃光」、 平凡社、ISBN 978-4582286922 (2015年7月27日（予定）)

谷川一彦は、原爆を描いた漫画家として、またアニメーターとして、日本の漫画史、アニメ史にその名を刻んでいます。彼の作品は、今もなお、多くの人々に感動を与え続けています。

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