谷田部 (つくば市)

谷田部の歴史と現状

概要

谷田部（やたべ）は、茨城県つくば市に位置する地区で、旧谷田部町の中心部にあたります。かつては陣屋町として栄えましたが、現在では商業施設が減少し、静かな住宅地としての側面が強くなっています。しかし、地域住民による活性化の動きもみられ、歴史と現代が混ざり合う地域です。

地理

谷田部は、谷田川下流域の筑波台地に位置し、平坦な農村地帯が広がっています。中心部は商業地域であり、その周囲を住宅地が囲む形となっています。かつては「タニシ町」と呼ばれていたように、周囲を田んぼに囲まれていました。地区内には、内町、新町、西町、不動町など複数の集落が存在します。周辺地域としては、北に島名、東に上横場、南に東丸山、西に境田などが隣接しています。

歴史

古代から戦国時代

谷田部は古くから開けた地域で、縄文時代の遺跡や古墳が多く発見されています。平安時代には「八部郷」の一部であり、戦国時代には小田氏の盟友・岡見氏の拠点として、谷田部城をめぐる攻防が繰り広げられました。最終的に、谷田部城は多賀谷氏によって落城し、多賀谷氏の支配下に入りました。

江戸時代

江戸時代に入ると、谷田部は谷田部藩の城下町として発展しました。細川氏が谷田部陣屋を構え、城下町を形成しましたが、その規模は大きくなく、商業的な発展は限定的でした。しかし、蘭学者の広瀬周度や発明家の飯塚伊賀七など、優れた人物を輩出しました。また、五角堂や不動松並木は当時の名残を今に伝えています。谷田部陣屋は、中世の谷田部城とは異なる場所に建設されました。

明治時代

明治時代になると、内町村、新町村、台町村が合併し、谷田部町が誕生します。谷田部は近代化が進み、郵便局や小学校、警察署などが設置されました。また、筑波郡の中心地として発展し、役場が設置されました。

大正・昭和時代

大正時代には、谷田部女子農業補習学校が開校し、筑波郡の中心としての機能が強化されました。昭和時代には谷田部海軍航空隊が開隊し、一時的に活気を取り戻しましたが、戦後は再び静かな町へと変化しました。

現代

戦後、筑波研究学園都市の建設が進められると、谷田部もその影響を受け、商工業が活性化しました。しかし、つくば市の中心が吾妻・竹園地区に移ると、谷田部の中心地としての機能は低下しました。現在では、商店街の衰退がみられる一方で、地域住民による活性化の取り組みが行われています。

交通

谷田部は、路線バス網の結節点となっており、土浦、牛久、取手などの各市と接続しています。かつてはバスの乗り換え地点として賑わっていましたが、自家用車の普及などにより、その役割は変化しています。道路においては、常磐自動車道の谷田部インターチェンジが設置されており、交通の便は比較的良いです。しかし、中心部には陣屋町時代の名残であるクランク状の道路が残っており、交通量に対して歩道が狭いという課題も抱えています。

文化・施設

谷田部には、歴史的な史跡や文化財が数多く残っています。谷田部陣屋跡、五角堂、道林寺、長徳寺、明超寺、八坂神社などがその代表例です。これらの史跡は、谷田部の歴史を今に伝える貴重な文化遺産となっています。また、つくば国際貨物ターミナル株式会社や日通つくば運輸株式会社など、本社を置く企業も存在します。

地価

2017年の公示地価によれば、住宅地の地価は2万8100円/m²となっています。

その他

谷田部では、地域活性化のために、クリスマスイルミネーションの実施や、「谷田部タウンネット」による活動、「谷田部伊賀七音楽祭」の開催など、様々な取り組みが行われています。これらの活動を通して、谷田部の活性化が期待されています。

地名の由来

地名の「谷田部」は、低地に開かれた田を意味する「谷津田」に由来するとされています。

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