谷田部町

茨城県つくば市発祥の地：旧谷田部町

かつて茨城県南西部に存在した谷田部町は、豊かな歴史と自然に恵まれた町でした。江戸時代には、熊本細川氏の分家が治める谷田部藩の城下町として栄え、その歴史的風情は現在も町のあちこちに残されています。しかし、1987年（昭和62年）11月30日、周辺の町・村との合併により、つくば市の一部となり、その歴史に幕を閉じました。旧谷田部町役場はその後、つくば市役所谷田部庁舎として機能を継続しましたが、2010年（平成22年）5月6日に新庁舎が完成するまでは、つくば市役所の役割を担っていました。

地理と自然

谷田部町は、桜川低地と小貝川低地に挟まれた筑波台地の南部に位置し、町域は平坦な地形が特徴です。穏やかな流れの小野川、東谷田川、西谷田川が流れ、洞峰沼といった沼地も点在していました。この平坦な地形は、農業の発展に貢献し、古くから豊かな田園風景が広がっていました。

隣接自治体

谷田部町は、筑波郡の大穂町、豊里町、伊奈町、谷和原村、新治郡の桜村、稲敷郡の茎崎町、そして水海道市、土浦市、牛久市と隣接していました。これらの地域との交流は、谷田部町の発展に大きく寄与しました。

歴史と変遷

1955年（昭和30年）3月31日、筑波郡の谷田部町、葛城村、島名村、小野川村、そして真瀬村の一部が合併し、新たな谷田部町が誕生しました。この合併により、町の面積と人口は拡大し、新たな発展の段階に入ります。その後、1973年（昭和48年）には、一部の区域が稲敷郡茎崎町に編入されるなど、行政区域の変更もありました。そして、1987年（昭和62年）11月30日、豊里町、大穂町、桜村と合併してつくば市となり、谷田部町は歴史の幕を閉じました。

教育と文化

谷田部町には、数多くの教育機関がありました。大学では、図書館情報大学（後の筑波大学図書館情報専門学群）があり、高等教育の中心地としての役割を果たしていました。また、茨城県立谷田部高等学校をはじめ、茗溪学園中学校・高等学校、さらに複数の町立中学校や小学校が設置され、地域住民の教育を支えていました。これらの教育機関は、質の高い教育を提供し、多くの優秀な人材を輩出しました。

交通とアクセス

谷田部町は、主要な交通網に恵まれていました。常磐自動車道の谷田部ICが町の交通の要衝となり、国道408号をはじめ、多くの県道が町を縦横に走っていました。これにより、周辺地域とのアクセスは良好で、経済活動や文化交流の活性化に貢献していました。

文化遺産と名所

谷田部町には、谷田部城跡や五角堂といった歴史的建造物が残されています。谷田部城跡は、町の歴史を物語る貴重な史跡であり、五角堂は独特の建築様式で人々を魅了しました。これらの歴史的建造物は、町のシンボルとして大切に保存され、観光資源としても活用されていました。

著名な出身者

谷田部町からは、多くの著名な人物が輩出されています。江戸時代の発明家である飯塚伊賀七、元プロ野球選手の工藤一彦、そしてタレントの松居直美など、様々な分野で活躍する人々がいます。これらの出身者は、町の誇りであり、その活躍は、町の文化や歴史に彩りを添えています。

まとめ

谷田部町は、歴史と自然、そして教育と文化が調和した町でした。つくば市への合併により、その独立した歴史は幕を閉じましたが、その歴史と文化は、現在のつくば市にしっかりと受け継がれ、未来へと語り継がれています。 つくば市の発展の礎となった谷田部町の存在は、決して忘れられることはありません。

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