豊川寺 (岐阜県白川町)

豊川寺（ほうせんじ）

豊川寺は、岐阜県加茂郡白川町黒川に位置する曹洞宗の寺院です。開運山という山号をもち、地域の信仰の中心として存在しています。

歴史

この地には元々、臨済宗妙心寺派の正法寺という寺院がありました。しかし、明治3年（1870年）の廃仏毀釈により廃寺となり、住民は神道への改宗を余儀なくされました。苗木藩によるこの政策は、地域の仏教信仰に大きな影響を与えました。

明治4年（1871年）の廃藩置県により苗木藩は苗木県となりますが、その後の府県統合によって同年中に岐阜県に編入され、消滅します。この行政の変化を機に、地域では仏教寺院を再興する動きが活発化しました。

明治19年（1886年）には、加茂郡和泉村の洞雲寺の執事が中心となり、寺院復興のための浄財簿が作成され、広く寄付が募られました。この活動が、豊川寺再建の大きな原動力となりました。

明治20年（1887年）には、洞雲寺の住職であった白井喬山が、小畑地区の西野に布教所を新設しました。これが、豊川寺の前身となります。

明治33年（1900年）には、愛知県の妙厳寺（豊川稲荷）から荼枳尼天が勧請され、堂宇が建立され安置されました。この荼枳尼天の勧請は、豊川寺が地域住民の信仰を深める上で重要な出来事でした。

明治38年（1905年）には、東京浅草にあった総泉寺の末寺であった「松吟庵」の寺籍が当地に移転されることが許可され、小島大機が住持となりました。これにより、寺院としての体制が整いました。

明治40年（1907年）には、内務省の指令を受け、寺号を「開運山 豊川寺」と改称しました。これが現在の寺号となっています。

明治41年（1908年）には、恵那郡加子母村の法禅寺の末寺となりました。このことにより、寺院としての活動がより安定したものとなりました。

豊川寺は、廃仏毀釈という苦難を乗り越え、地域住民の信仰によって復興された歴史を持つ寺院です。現在も、地域に根ざした寺院として、多くの人々に親しまれています。

関連リンク

白川寺　白川おとなう

参考文献

『白川町誌』　第五章　宗教　第三編　生活と文化　開運山豊川寺　p914　白川町誌編纂委員会　1968年
『美濃国加茂郡誌』　第七章　宗教　第二節　寺院　【黒川豊川寺】　p789　岐阜県加茂郡役所　大正10年

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