加子母村

加子母村について

加子母村（かしもむら）は、かつて岐阜県恵那郡に存在した村です。2005年2月13日に中津川市に編入され、「中津川市加子母」となりました。この地域は、東濃ひのきの主産地として全国的に知られています。豊かな自然に囲まれ、山間の静かな風景が広がっていました。

地理

加子母村は、岐阜県の東部に位置し、長野県との県境に接していました。木曽川水系の白川沿いにあり、山々に囲まれた地形が特徴です。村の北東部には阿寺山地が連なり、西部には東美濃高原が広がっています。村の中心部を南北に流れる白川（通称：加子母川）は、この地域の自然を象徴する存在です。阿寺断層という活断層が村の中心を通っており、地形形成に大きな影響を与えています。

村域の94%を山林が占め、東濃ひのきの産地として有名です。特に村の東部は国有林が広がり、豊かな森林資源を有していました。

主な山:

尾城山
高時山
高樽山
唐塩山
小秀山
三国山

主な河川:

白川

隣接していた自治体:

下呂市
恵那郡付知町
加茂郡東白川村、白川町
長野県木曽郡王滝村、大桑[[村]]

歴史

加子母村の歴史は古く、平安時代には集落が形成され始めました。鎌倉時代には、源頼朝の命によって建立された大威徳寺がこの地域に大きな影響を与えました。戦国時代には、木曽氏と三木氏の戦いの舞台ともなり、大威徳寺が焼失するなどの出来事がありました。

江戸時代には尾張藩領となり、木材の搬出管理を目的とした番所が設置されました。また、用水路の整備も行われ、農業の発展に貢献しました。明治時代には、山林が住民に譲渡され、植林が奨励されました。

歴史の主な出来事:

平安時代: 小郷・小和知に集落が形成され始める。
鎌倉時代初期: 大威徳寺が建立される。
永正元年（1504年）: 三木重頼が白巣峠を越え侵攻。
永禄12年（1569年）: 大威徳寺の戦い。
天正13年（1585年）: 天正地震により大威徳寺が壊滅。
天正17年（1589年）: 太閤検地で加子母村が1,189石5升と記録される。
江戸時代: 尾張藩領となる。
享保11年（1726年）: 抜荷守番所が設置される。
享和元年（1801年）: 加子母用水が完成。
明治6年（1873年）: 「五木伐採の禁」が解かれ、山林が譲渡される。
明治22年（1889年）: 町村制施行により加子母村が発足。
2001年（平成13年）: 「加子母村の檜とササユリ」が「かおり風景100選」に選定。
2005年（平成17年）: 中津川市に編入され、加子母村が廃止。

経済

加子母村の主な産業は、農業、畜産、林業、木工業でした。農業では、夏秋トマトや飛騨牛の肥育が盛んで、県内有数の産地として知られていました。また、豊富な木材資源を活かした木工業も重要な産業であり、特に東濃ひのきは建築材として重宝されました。加子母村の刷毛生産は、全国供給量の7割を占める時期もありました。

村内で生産される東濃ひのきは、建築材としてだけでなく、伊勢神宮の式年遷宮や姫路城の解体修理にも使用されました。この地域で培われた建築技術は、県外にも広く知られています。

文化

加子母村には、数多くの神社や寺院が存在します。森白山神社や牧水無神社をはじめとする神社は、地域の人々の信仰の中心でした。また、法禅寺のような寺院も、地域文化に深く根付いていました。

主な神社:

森白山神社
牧水無神社
渡合水無神社
田屋春日神社
宮下水無神社
梅ノ木御嶽神社
井上劔神社
渡合若宮八幡神社
宮洞多賀神社
村上神明神社
禰宜屋下郷神社
吉金白山神社

主な寺院:

法禅寺（曹洞宗）

教育

加子母村には、中学校と小学校がありました。また、かつては高等学校の分校も存在していましたが、廃校となりました。地域の子どもたちは、これらの学校で学び、成長していきました。

主な学校:

加子母村立加子母中学校
加子母村立加子母小学校

2005年以前に廃校となった学校:

岐阜県立中津高等学校加子母分校
加子母村立加子母小学校北分校
加子母村立加子母小学校南分校

交通

加子母村には、鉄道は通っていませんでした。主な交通手段は、バスと道路でした。村内には、国道256号と257号が通り、近隣地域とのアクセスを支えていました。

主な交通:

バス: 濃飛バス、北恵那交通
道路: 国道256号、国道257号
岐阜県道436号田口洞線

道の駅:

道の駅 加子母

名所・旧跡・観光スポット

加子母村には、自然や歴史を感じられる多くの名所や観光スポットがありました。乙女渓谷や加子母のスギ、大杉地蔵尊などは、多くの人々が訪れる場所でした。また、かしも明治座や渡合温泉など、地域の文化や歴史を伝える施設も存在しました。

主な観光スポット:

乙女渓谷
加子母のスギ（国の天然記念物）
大杉地蔵尊
文覚の墓
なめくじ祭り
加子母観音
かしも明治座
渡合温泉

著名な出身者

加子母村出身の著名人として、明治時代の教育者である内木玉枝と内木和がいます。彼らは、この地域の人々の教育に貢献しました。

内木玉枝 - 明治時代の教育者
内木和 - 明治時代の教育者（玉枝の弟）

加子母村は、その豊かな自然と歴史、文化が今もなお人々の心に残る場所です。この美しい村の歴史は、未来へと語り継がれていくでしょう。

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