豊橋鉄道モハ200形電車

豊橋鉄道モハ200形電車の概要

豊橋鉄道モハ200形電車は、かつて愛知県豊橋市で運行されていた路面電車です。この車両は1949年に導入され、旭川市街軌道から購入されたもので、歴史ある一台です。元々は北海道の旭川市で使用されていた車両で、豊橋の市内線で23年ぶりの新型車両として登場しました。元は4両が導入され、車両番号は201から204までです。これらの番号は、旭川市街軌道においてはそれぞれ24・27・12・13と呼ばれていました。

このモハ200形は、半鋼製の低床車両として設計され、車体は幅広で角ばった形状を持っています。そのため、ラッシュ時や団体輸送において高い収容能力を誇りました。また、側面には前後に1つずつのドアと戸袋窓、計6つの客室窓があり、外観は印象的でした。初期の塗装はスカイブルー一色で、戦後の厳しい時代に明るさを与えていたと言われていますが、後に緑と黄色のツートーンに塗り替えられました。屋根にはお椀形のベンチレーターが設置されており、消防や排気の効果を持ちました。

集電装置については、導入当初はトロリーポールを使用していましたが、1954年には全車がビューゲルに変更されました。ビューゲルは中央に1つだけ設置されており、トロリーポールが前後に設置されているのとは異なる形態を取っていました。この変更により、操作が簡便になりました。

1963年には名古屋市電からボギー車が大量に転入したため、モハ200形は徐々に余剰となり、休車状態に置かれることが多くなりました。1964年に形式称号はモハ200形からモ200形に変更されましたが、1965年に廃車となりました。廃車直前には、2両の車体が赤岩口車庫に残存していたため、長らくその姿を見ることができた方もいたでしょう。

主要な仕様

モハ200形の仕様について、廃車時点での主要な情報は以下の通りです。車両は製造年により一部で異なりますが、201・202は汽車製造の東京支店製、203・204は川崎車輌によるものです。

モハ201・202（元旭川市街軌道24・27）

• - 製造者：汽車製造東京支店
• - 定員：44名（座席定員20名）
• - 自重：8.74トン
• - 最大寸法：長さ8,350mm、幅2,438mm、高さ3,726mm
• - 台車：汽車製造製 ブリル79-E系（低床台車、車輪径660mm）
• - 軸距：2,134mm
• - 電動機：HS-301（30馬力）×2
• - 歯車比：5.70

モハ203・204（元旭川市街軌道12・13）

• - 製造者：川崎車輌
• - 定員：44名（座席定員20名）
• - 自重：8.74トン
• - 最大寸法：長さ8,200mm、幅2,438mm、高さ3,720mm
• - 台車：川崎車輌製 ブリル21-E系（低床台車、車輪径660mm）
• - 軸距：2,134mm
• - 電動機：川崎ES（30馬力）×2
• - 歯車比：5.70

エピソード

この電車の移送過程は、決して順調なものではありませんでした。旭川から豊橋へは国鉄を利用しての輸送でしたが、運送途中で労働争議や台風が影響し、一時的に行方不明になってしまったのです。そのため、豊橋に到着するまで約2か月を要することになりました。到着時には、車両は劣化した状態で届けられたとされています。これは、当時の交通事情や運送環境の厳しさを物語っています。

以上が豊橋鉄道モハ200形電車に関する概要です。その独自の歴史と技術は、今でも多くの鉄道ファンに愛されています。

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