豊橋鉄道モ3700形電車

豊橋鉄道モ3700形電車の歴史

豊橋鉄道モ3700形電車は、かつて愛知県豊橋市で運行されていた市内線用の電車で、特にそのユニークな歴史とデザインが魅力的です。この電車は1963年に名古屋市電から移籍したもので、合計4両が導入されました。しかし、年々廃車が進み、最終的には「レトロ電車」として知られる形で1両が残されていましたが、2007年に運行を終了しました。

名古屋市電時代

モ3700形の前身は、名古屋市電で「BLA形」または「1200形」として知られていました。この車両は、1927年に日本初の半鋼製低床ボギー車として製造され、主に日本車輌製造と東洋車輌によって作られました。当初、試作車2両が完成し、その後8両が追加される形で計10両が製造されました。しかし、太平洋戦争中に2両が戦火で全焼する等、運命を共有する車両も多く、1963年には国鉄へ廃車報告されました。

豊橋鉄道への移籍

モ3700形は1963年に豊橋鉄道に譲渡され、これを機に形式称号が変更となりました。豊橋鉄道は、名古屋市電で廃車となった1202（元1209）・1204・1205・1206の4両を購入し、当初は「モハ700形」として運行されました。豊橋鉄道への移籍に際して、車両にさまざまな改良が施され、例えばツーマン運転に対応した構造に変更されました。

ワンマン運転と改良

豊橋鉄道上の運用が進む中で、モ3700形は1967年にワンマン改造を受けました。この改造により702と704に新たな装置が加えられ、特に集電装置はビューゲルからZパンタに変更され、車両の見た目も新しくなりました。それに対して、改造を受けなかった701と703は東田本線でそのまま運用され、文化に馴染んでいったのです。1971年には、ワンマン運転が開始され、3701と3703はその運用開始後不運にも廃車対処されました。

「レトロ電車」としての姿

その後、3702は1981年から「レトロ電車」としての存在をアピールする施策が行われ、一般市民に親しまれました。1990年7月にギャラリー電車として再デビューし、様々なイベントでの活躍が続きました。1994年には鉄道友の会から「エバーグリーン賞」を受賞するなど、豊橋市民から好評を博しました。

最終運行と静態保存

1996年には運行を終了し、2007年には最後の運行を経て廃車となりました。その後、3702は豊橋市松葉町の「こども未来館」で静態保存されています。展示の際、運転台はシミュレーション用に改造されているため、訪れる人々は電車運転の疑似体験ができるようになっています。

主要諸元

• - 製造者: 東洋車輌（3701、3703、3704）、日本車輌製造（3702）
• - 定員: 100人（座席28人）
• - 自重: 16.9トン（3701・3703）/ 17.0トン（3702・3704）
• - 全長: 12,432mm
• - 全幅: 2,206mm
• - 全高: 4,200mm
• - 台車: 日本車輌製造製・ブリル39E形系
• - 電動機: HS-306E（33.6kw）2個

豊橋鉄道モ3700形電車は、ただの交通手段ではなく、地域の文化や歴史の象徴として、今もなお市民に愛され続けています。

もう一度検索