豊臣完子

豊臣完子（とよとみさだこ）

豊臣完子（羽柴完子とも呼ばれる）は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけて活躍した女性であり、九条幸家の正室として知られています。彼女は従二位の地位を持ち、天真院という院号も有しています。完子は豊臣秀頼の義姉、さらには千姫や徳川家光、徳川忠長、徳川和子（東福門院）といった歴史的な人物たちの異父姉でもあります。さらに、彼女は明正天皇の伯母にあたる重要な存在でした。

生涯の始まり

完子は文禄元年（1592年）1月か2月に誕生しました。父は豊臣秀勝、母は江で、初名は不明です。父の秀勝は、文禄の役において病死し、満3歳という若さで父を失いました。母である江はその後、徳川秀忠と再々婚を果たし、それを受けて完子は伯母の淀殿に引き取られました。淀殿は完子をまるで自分の子どものように大切にし、彼女を育てましたが、相続問題のために『慶長日件録』では猶子として扱われています。猶子とは通常は相続権がないため、一般的には名前のみの養子として理解される存在です。

九条幸家との結婚

慶長9年（1604年）、完子は九条忠栄（後の幸家）に嫁ぎました。この結婚式の直前に完子の乳母が亡くなる出来事があり、当時の人々にも大きな関心を集めることとなりました。結婚式は淀殿がすべてを手配し、華やかであったため、京の貴族たちからも注目を浴び、「九条家嫁娶見物」として名を馳せました。また、義弟である秀頼名義で九条家の新邸も造営されています。慶長13年（1608年）12月26日には、忠栄が関白に任官され、完子は北政所となりました。この「完子」という名は、この時に与えられたものと考えられています。

豊臣家滅亡とその後

しかし慶長20年（1615年）に豊臣家が滅亡したことで、完子は母の嫁ぎ先である徳川家の養女となりました。彼女の母は豊臣家と徳川家をつなぐ重要な存在であり、完子自身もその影響で友好関係の維持に努めました。

完子は万治元年（1658年）、67歳でこの世を去りました。彼女の生涯は、豊臣家と徳川家の間の重要な接点となりました。

一族と子孫

完子には豊臣秀勝を父に持つ異父弟妹が多く存在し、その中には千姫や徳川家光などがいます。彼女自身、九条幸家との間に7人の子どもをもうけ、この子どもたちが女系で豊臣家の血筋を引き継いでいます。長男の二条康道、長女の序君、次男の九条道房など、多くの子どもたちが歴史上の重要な役割を果たしました。

特に、長女の序君は東本願寺の宣如に嫁ぎ、その子孫は東本願寺大谷家に血脈を伝えています。また、嫡男の道房はその子である愛姫を浅野綱晟に嫁がせるなどし、大名家に血脈が引き継がれました。このように完子は、現代の皇室を含む多くの名家に影響を与えた人物となるのです。

文化的影響

完子は、彼女の時代の重要な人物たちとも広く交流を持ち、特に秀吉の姉である日秀尼とも関係が深かったとされています。また、彼女の末娘は日秀の瑞龍寺を継ぐことになりました。完子はその後の歴史においても重要な役割を果たした女性の一人として、様々なメディアに取り上げられています。

作品の中の完子

完子は多くの作品に登場しており、特にテレビドラマ「戦国の女たち」や「葵 徳川三代」などにおいて彼女の人生が描かれました。これにより、彼女の名と功績は多くの人に知られることとなりました。

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