貨客混載機

貨客混載機（Combi aircraft）とは、旅客輸送と貨物輸送の両方を重視して設計された航空機であり、旅客機と貨物機の中間に位置付けられる存在です。「コンビ型」とも呼ばれます。

この種の航空機は、特定の路線において旅客または貨物どちらか一方の需要だけでは十分な採算が見込めない場合などに導入されます。一般的な旅客機でも手荷物やロワーデッキに貨物を搭載しますが、メインデッキの大部分は旅客のために確保されています。一方、貨物機はメインデッキとロワーデッキのほぼ全域を貨物スペースとして、大量の貨物輸送に特化しています。貨客混載機は、旅客機のメインデッキの一部を貨物スペースとして利用する構造をとります。通常、メインデッキの前方または後方の一部に貨物室が設けられ、旅客スペースとの間は仕切り壁で区切られます。これにより、同型旅客機と比較すると乗客数は減少しますが、一定量の貨物を同時に運ぶことが可能となります。これは、小型機程度の需要が見込まれる路線でも航空貨物輸送を実現できるという大きなメリットをもたらします。

貨客混載機の代表的な例の一つに、ボーイング747-400Mがあります。この機体は、胴体後部側面に大型の貨物ドア（SCD）を備え、旅客型747-400では客室であるメインデッキ後部が貨物室となっています。そのため、旅客型に比べて定員が大幅に少なくなります。例えば、ローンチカスタマーであるKLMオランダ航空の場合、旅客型747-400の定員が408名であるのに対し、747-400Mは268名でした。また、地方路線での運用を想定した設計が特徴のATR 42やATR 72といった機体では、機首左側にカーゴドアを持つコンビ型が標準仕様として提供されています。その他にも、ボーイング707-320Cやマクドネル・ダグラス DC-10-30 Combi、MD-11 Combiなど、様々な時代の航空機で貨客混載型が開発・運用されました。

近年では、カーゴ・フレックス（Cargo Flex）と呼ばれるタイプの貨客混載機が登場しています。従来の貨客混載機では、旅客と貨物の間の仕切り壁は固定されており、その割合を変更するには大規模な改修が必要でした。しかし、カーゴ・フレックスとして設計された機体では、この仕切り壁が容易に可動または取り外し可能となっており、多くの場合、数日程度の作業で旅客と貨物の搭載スペースの比率を変更できます。これにより、季節や時期によって貨物や旅客の需要が大きく変動する路線に就航させる際に、その時々の需要に合わせて柔軟にスペース配分を調整することが可能となります。これは運航の柔軟性を高め、採算性の向上に大きく貢献し、新たな路線開設を後押しすると期待されています。ボーイング737-700FCや、ATR 72-600のカーゴ・フレックス・オプションなどがこのタイプに該当します。

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