貴禰谷神社

貴禰谷神社の概要

貴禰谷神社（きねがだにじんじゃ）は、三重県南牟婁郡紀宝町鵜殿に位置する神社です。この神社の特徴は、紀宝町鵜殿地区の西端に、丘陵の中腹に設けられた小祠とその前に立つ石碑からなるその景観です。この石碑には祭神の名前が刻まれており、地元の人々からは「権現谷」や「矢淵権現」、「石淵権現」という呼び名でも知られています。これは、地域の信仰と文化が深く根付いていることを示しています。

この神社は紀宝町が指定する史跡でもあり、地域の重要な文化財となっています。埋もれた歴史に触れ、香り立つ自然に包まれるこの場所は、大切な思い出の場や祈りの場として多くの人に親しまれています。

祭神と由緒

貴禰谷神社には熊野権現が祭られており、その由緒は非常に古いものです。『長寛勘文』に収められた「熊野権現御垂迹縁起」によれば、熊野権現は豊前、伊予、淡路、紀伊などを巡り歩いた後、新宮の神倉を経て、北の石淵の谷に2つの社として祀られたとされています。この社が代々の神から受け継がれてきたことが、地域の信仰の中心であったことを示しています。

『熊野年代記』によると、安寧天皇の時代に新宮神倉に降臨した熊野三所権現が後に貴祢谷に勧請されたのがこの神社の始まりであり、さらに孝昭天皇の時代には、この地域の家津美御子神と結・速玉の神が祀られるために社壇が建立されたと伝えられています。これによって、貴禰谷神社は熊野の信仰が集まる重要な聖地となりました。

伝説によれば、これら2宇の神が崇神天皇の時代に熊野本宮へ移された後、景行天皇の時代には結・速玉の神が熊野新宮に遷座されたとされます。この際には、地元の住民が「諸手船」と呼ばれる船を用いて神を先導したと伝えられ、その伝承は今に至るまで受け継がれています。

毎年10月16日には、速玉大社の御船祭が行われ、地元の烏止野神社の氏子が諸手船を漕ぎ出して神船を先導する伝統的な行事が行われています。このように、貴禰谷神社は地域の文化や人々の信仰を象徴する存在として親しまれています。

参考文献

• - 平凡社、『三重県の地名』、1983年
• - 平凡社、『大和・紀伊寺院神社大事典』、1997年
• - 宮家 準、『熊野修験』、1992年

関連情報

貴禰谷神社についての詳細は、紀宝町の公式サイトで確認できます。

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