貴賢神

貴賢神：相撲から総合格闘技へ至る波瀾万丈の人生

貴賢神（たかけんしん）、本名上山賢（かみやまさとし）は、1997年5月13日生まれの日本の男性総合格闘家です。元々は、貴乃花部屋（後に千賀ノ浦部屋に移籍）に所属していた大相撲力士で、貴源治賢士（たかげんじさとし）という四股名で活躍しました。最高位は西前頭10枚目（2019年7月場所）にまで上り詰めています。

複雑な生い立ちと相撲への道

貴賢神は、日本人の父親とフィリピン人の母親を持つ一卵性双生児の弟として栃木県小山市に生まれ、茨城県境町で育ちました。少年時代は空手やキックボクシングを経験しましたが、中学校時代はバスケットボールに打ち込み、茨城県選抜の主力選手として全国3位という輝かしい成績を残しています。強豪高校からの誘いもあったものの、両親の勧めもあり、相撲経験ゼロのまま中学卒業と同時に貴乃花部屋に入門しました。

入門の動機について、貴賢神自身は「バスケでは金にならない。体を使うことが好きで、体を使って親孝行したかった」と語っています。継父による家庭環境の困難や経済的な事情も、相撲への道を決めた要因の一つであったようです。継父は酒乱で、しばしばバスケットボールの大会前に暴れたり、学費の援助がままならない状況でした。小学校4年生の頃から継父から相撲を勧められていたことも、兄弟揃って貴乃花部屋へ入門するきっかけとなったようです。

大相撲力士としてのキャリア

2013年3月場所で初土俵を踏んだ貴賢神は、新十両昇進まで順調に番付を上げていきました。師匠である貴乃花からは突っ張る相撲を指導され、三段目では当時無敗だった正代からプロ初黒星を奪う金星を挙げ、周囲を驚かせました。しかし、幕下では勝ち越せない時期が続き、苦戦を強いられました。

その後、幕下に定着すると、兄のスダリオ剛（元貴ノ富士）と共に巡業での初切を担うなど、活躍の場を広げていきました。2017年3月場所には、西幕下筆頭として迎え、新十両昇進を果たします。十両では浮き沈みを繰り返し、2019年5月場所では自身初となる十両優勝を果たし、新入幕を果たしました。しかし、幕内では思うような結果を残せず、その後は十両、幕下と番付を上下する日々が続きました。

大麻問題と解雇

2021年7月場所後、貴賢神の大麻使用が発覚し、相撲協会から解雇処分を受けました。この事件は、貴賢神の相撲人生に終止符を打ちました。大麻使用の経緯や、それ以前から指摘されていた性格の不安定さ、そして相撲協会や関係者との摩擦などが、彼の解雇へと繋がった要因といえるでしょう。

総合格闘家への転身

相撲界を去った貴賢神は、2021年12月24日に貴賢神に改名し、総合格闘家への転身を表明しました。2022年4月にはRIZINでプロデビューを果たしましたが、その後も勝利を掴むには至らず苦戦を強いられています。しかし、持ち前の身体能力と闘争心で、新たな舞台でも奮闘を続けています。

人物像

貴賢神は、好きな音楽がヒップホップ、趣味がトレーニングと、力士時代から鍛え抜かれた肉体とメンタルの強さを伺わせる人物像です。兄のスダリオ剛とは一卵性双生児であり、兄弟で初切を担当したこともありました。相撲界では、突き押し相撲を得意とし、長身とリーチの長さを活かした突っ張りが特徴的でした。稽古熱心な一面も持ち合わせていましたが、一方で、性格の不安定さや、対戦相手への危険な張り手、不祥事なども指摘されてきました。

まとめ

貴賢神の人生は、恵まれた才能と環境にも関わらず、様々な問題や困難に直面してきた波乱万丈なものでした。相撲界での栄光と挫折、大麻問題による解雇、そして総合格闘家への転身。彼の未来は未だ予断を許しませんが、持ち前の強さと経験を活かし、新たな挑戦を続ける姿に注目が集まっています。 彼の経験は、多くの後進にとって、教訓となるでしょう。

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