賣笑エクスタシー

椎名林檎『賣笑エクスタシー』

『賣笑エクスタシー』は、椎名林檎が2003年5月27日に発表した映像作品です。この作品は、同年に開催されたコンサートイベント「実演生中継 賣笑エクスタシー」の模様を収録したライブ映像集であり、発売元は東芝EMIでした。2013年11月13日には、ユニバーサルミュージック合同会社からBlu-ray Disc版もリリースされています。このBlu-ray版は、ボックス・セット「LiVE」にも収録されています。

作品概要

この映像作品は、2003年2月23日に発売された3rdアルバム『加爾基 精液 栗ノ花』のリリース記念コンサート「実演生中継 賣笑エクスタシー」を映像化したものです。通常の椎名林檎のイベントとは異なり、斎藤ネコ率いる「ノラネコオーケストラ」との共演が特徴です。コンサートは東京の九段会館から全国のホールやライブハウスへ生中継され、東京以外のファンも同時に楽しめる試みでした。

当日は、舞台俳優の小林賢太郎がゲスト出演し、会場を盛り上げました。また、このイベントは、映像作品『短篇キネマ 百色眼鏡』や公式サイト「性（さが）」と連動しており、中継先の会場は、公式サイト上に設定された架空の映画館「ニツケルオデオン性銀映」として統一されました。

DVDのメニュー画面も特徴的で、「ニツケルオデオン性銀映」の館内を散策するように、売店や講堂へ進む構成になっています。購入者特典として、コンサート本編に加え、シングル「茎 (STEM) 〜大名遊ビ編〜」と『短篇キネマ 百色眼鏡』のCM、そして『加爾基 精液 栗ノ花』の国内・海外向けCMが収録されました。さらに、デビュー前に東芝EMI社員向けに行ったお披露目会「社内デビュー・コンベンション」での、ピアノ弾き語りによる「ここでキスして。」の映像も収録されています。

また、デビュー5周年記念として制作された新曲「映日紅の花」を収録したCDが付属しており、この楽曲のミュージックビデオはDVDに収録されています（パスワード入力が必要）。

椎名林檎は、斎藤ネコとの共同作品『平成風俗』(2007年)について、このイベントやシングル「りんごのうた」収録の「la salle de bain」など、斎藤ネコによるオーケストラアレンジをまとめたかったと語っています。また、写真家・蜷川実花監督の映画『さくらん』(2007年)の音楽制作の依頼を受けたことをきっかけに、過去のオーケストラアレンジをまとめた作品を制作した経緯があります。

タイトルの「賣笑」は、かつて「売春」を指す言葉でしたが、椎名林檎は「マクドナルドのスマイル0円サービスのようなイメージ」と語っています。

ニツケルオデオン性銀映

この作品では、架空の映画館「ニツケルオデオン性銀映」を舞台に、DVDのメニュー画面が構成されています。

入り口: DVDを起動すると、自動的に館内に入ります。左へ進むと休憩場、中央の扉は講堂、右へ進むと売店にアクセスできます。
講堂: 本編「賣笑エクスタシー」を鑑賞できます。右の扉からはシングルや短編キネマ、アルバムのCMを見ることができます。左の扉からは「退場の模様」ノーカット版を見ることができます。
売店: 特典映像「ここでキスして。」の弾き語り映像を視聴できます。ギターを選択すると映像が始まり、ガラス棚を選択するとディスコグラフィーが閲覧できます。
休憩場: 自動販売機があり、選択するとポスターが現れます。奥には「映日紅の花劇場」があり、旧字体の漢数字によるパスワードを入力することでミュージックビデオを見ることができます。パスワードは難しくなく、ヒントも表示されます。

収録内容

全作詞・作曲：椎名林檎、全編曲：斎藤ネコ（注記を除く）。

関連項目

* 平成風俗

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