赤塚正助

赤塚正助：外交と政治の世界を駆け抜けた情熱の人

赤塚正助は、1872年（明治5年）に鹿児島県で生まれ、1942年（昭和17年）にその生涯を閉じました。彼は、明治から昭和初期にかけて、外交官、そして政治家として、激動の時代を力強く生きた人物です。

外交官としてのキャリア

赤塚は、旧薩摩藩士の三男として生を受けました。鹿児島高等中学造士館を経て、東京帝国大学法科大学を卒業。その後、外交官及領事官試験に合格し、外務省に入省しました。廈門、釜山、マニラといった各地の領事を歴任し、1912年（明治45年）には広東総領事に就任。さらに奉天総領事へと転じ、関東都督府参事官や朝鮮総督府事務官も兼任しました。特に奉天総領事時代には、中国の軍閥である張作霖との交渉を担当し、その手腕を発揮しました。

1923年（大正13年）には、駐オーストリア公使に任命され、駐ハンガリー公使も兼任。ヨーロッパの国際情勢にも精通し、外交官としてのキャリアを積み重ねました。

政治家としての挑戦

外交官を退官後、赤塚は政治の世界へと足を踏み入れます。1928年（昭和3年）に行われた第16回衆議院議員総選挙で、立憲民政党から出馬し、見事当選。衆議院議員として1期を務めました。政界では、床次竹二郎と行動を共にし、その政治活動を支えました。しかし、1930年（昭和5年）の第17回総選挙では、立憲政友会公認で出馬したものの、次点で落選し、政界を引退しました。

人となり

赤塚正助は、その豪放磊落な人柄で知られていました。外交官時代には、中国の官僚たちと酒を酌み交わし、中国語でユーモアを交えながら談笑したと言われています。広州総領事の下で領事官補を務めた石射猪太郎は、赤塚の人柄を「言動が開放的ですこし巧まない。ユーモアと情味が飾らない辺幅からほどばしる。酒を愛し、談論を好み、しかも識見には独創味があった」と評しました。

また、中国側との宴席では、その酒豪ぶりを発揮し、「拳を打ち、斗酒なお辞せず」の気概で、中国人たちと親睦を深めました。彼の飾らない人柄は、多くの人々を魅了し、国境を越えた友情を育みました。

晩年と死

政界引退後は、新潟の別荘で静かに余生を過ごしました。そして、1942年（昭和17年）に病に倒れ、その生涯を閉じました。彼の墓は、多磨霊園にあります。

まとめ

赤塚正助は、外交官として、そして政治家として、激動の時代を駆け抜けた人物でした。その豪放磊落な人柄は、多くの人に愛され、彼が築いた人間関係は、国境を越えて広がりました。彼の生涯は、困難な時代を生き抜く上で、私たちに勇気と希望を与えてくれます。

参考文献

市来政尚『三州名士録大鑑 上巻』三州名士録刊行会、1930年。
南日本新聞社編『郷土人系 上』春苑堂書店、1969年。
外務省外交史料館日本外交史辞典編纂委員会『新版 日本外交史辞典』山川出版社、1992年。
衆議院・参議院編『議会制度百年史 - 衆議院議員名鑑』大蔵省印刷局、1990年。

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