赤外線撮像素子

赤外線撮像素子：目に見えない世界をとらえる技術

赤外線撮像素子とは、赤外線センサを用いて、赤外線領域の光を電気信号に変換し、画像として出力するデバイスです。目に見えない赤外線を感知することで、可視光では得られない情報を得ることができ、様々な分野で活用されています。

種類と特性

赤外線撮像素子は、センサの配置によって一次元型と二次元型に分類されます。

一次元型: センサが直線状に配置されています。鏡や人工衛星の移動を利用して走査することで画像を取得します。二次元型よりも高分解能な画像を得ることが可能です。気象衛星や地球観測衛星など、高精度な観測が求められる用途に適しています。

二次元型: センサが二次元的に配置されています。一度に広い範囲の画像を取得できます。一次元型に比べて分解能は低いものの、簡便なシステム構成が可能です。

赤外線の特性と応用

赤外線は可視光よりも波長が長いため、煙や薄い布などを透過する性質があります。この特性を利用して、可視光では見えにくい対象物を撮影することができます。例えば、火災現場での消火活動や、考古学調査などでの非破壊検査に活用されます。

特に、遠赤外線領域を検知する撮像素子を用いると、物体の熱を検知することが可能です。物体自身が発する赤外線を利用するため、外部光源がなくても撮影が可能です。この原理を利用したサーモグラフィーは、熱画像として温度分布を可視化し、設備の異常検知や医療診断などに役立てられています。サーモグラフィーでは、一般的に高温部は赤色、低温部は青色で表示されます。

近赤外線領域では、夜間でも被写体を照らすことで撮影が可能です。被写体は近赤外線光源に気づきにくいため、野生動物の観察や防犯カメラなど、相手に気付かれずに撮影する必要がある用途に最適です。近年では、近赤外線まで感度を持つCCDと赤外線LED照明を使用した監視カメラが、街中の監視カメラ、料金所ゲート、家庭用ドアホンなど、幅広く利用されています。

軍事用途では、暗視スコープに赤外線撮像素子が用いられています。わずかな可視光線に加え、近赤外線を増幅することで、夜間でも明瞭な画像を得ることができます。

用途

赤外線撮像素子は、様々な分野で利用されています。主な用途として以下のものがあげられます。

赤外線カメラ: 様々な用途で広く利用されています。
赤外線フィルム: 写真撮影などに使用されます。
赤外線捜索追尾システム: ミサイル誘導など軍事用途で使用されます。
FLIR (Forward-Looking Infrared): 航空機などに搭載される赤外線映像システムです。
* サーモグラフィー: 熱画像を撮影する装置です。

まとめ

赤外線撮像素子は、可視光では捉えられない情報を取得できる画期的な技術です。その特性を活かし、様々な分野で活用され、私たちの生活を支えています。今後も更なる技術開発と応用が期待されます。

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