赤沢映画

赤沢映画：幻の映画会社とその軌跡

赤沢映画は、1931年に設立され1935年に活動を停止した、短い期間存在した日本の映画会社です。設立者は、北海道砂川市で興行師をしていた赤沢大助。無声映画、サウンド版映画、そしてトーキー映画と、時代を反映した作品を製作・配給しました。

設立と初期の作品

1931年（昭和6年）、当時33歳だった赤沢大助は、マキノ御室撮影所からベテラン監督の吉野二郎を引き抜き、映画製作に乗り出します。吉野監督による『阿波の鳴門』、『杉野兵曹長の妻』を製作・自主配給したことが、赤沢映画の始まりでした。吉野監督は、翌1932年（昭和7年）の正月映画まで、計3本の作品を手がけました。

赤沢大助の監督就任

1932年からは、赤沢自身が監督として映画製作を指揮します。実は赤沢は、1922年（大正11年）に『籠の鳥の唄』の主題歌と企画を売り込み、1924年（大正13年）には平戸延介（後の映画監督、山本嘉次郎）を主演に監督デビューを果たしている人物でした。赤沢は1934年までに7本の作品を監督しましたが、『金色夜叉』を除き、そのほとんどが時局的な戦争映画でした。

多様な監督陣と終焉

赤沢映画は、嵐寛寿郎プロダクションから富国映画社に移籍した仁科熊彦や、大都映画の根岸東一郎（赤沢映画の後はマキノ・トーキーに移籍）といった監督も起用しました。彼らはそれぞれ1本ずつ作品を演出しています。そして1935年（昭和10年）3月7日、根岸監督によるトーキー映画『母の心』の製作・配給をもって、赤沢映画はその役割を終えました。

フィルモグラフィ

以下に、赤沢映画が製作・配給した主な作品を記します。特記がないものは無声映画です。

1931年
阿波の鳴門　監督：吉野二郎
杉野兵曹長の妻　監督：吉野二郎
1932年
頼母子権兵衛　監督：吉野二郎
散りゆく大和櫻 空閑少佐　監督：赤沢大助
空中艦隊　監督：赤沢大助　※トーキー
肉弾三勇士　監督：赤沢大助
満州大進軍　監督：赤沢大助
新戦場　監督：仁科熊彦　※日活配給
1933年
敵は太平洋　監督：赤沢大助
1934年
金色夜叉　監督：赤沢大助　※サウンド版
君国のために　監督：赤沢大助　※サウンド版
1935年
母の心　監督：根岸東一郎　※トーキー

註

短い活動期間であったものの、赤沢映画は、無声映画からトーキーへの移行期における日本の映画製作の一側面を垣間見せてくれる貴重な存在です。

外部リンク

Akazawa Eiga - IMDb （英語）

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