根岸東一郎

根岸東一郎

根岸東一郎（ねぎし とういちろう、1899年10月 - 1949年頃）は、日本の俳優、映画監督、脚本家として活動しました。本名は同じです。

生涯

1899年（明治35年）10月、根岸東一郎は群馬県前橋市紅雲町で生まれました。明治学院から早稲田大学商学部に進学後、新劇団金星座で初舞台を踏み、俳優としてのキャリアをスタートさせました。

1925年（大正14年）2月、日活京都撮影所に入社し、映画界に足を踏み入れます。同年、村田実と三枝源次郎が共同で監督したサイレント映画『法を慕ふ女』で映画デビューを果たしました。日活時代は現代劇の俳優として活動しました。

1928年（昭和3年）4月、根岸はマキノ・プロダクションに移籍し、同年6月には牧野省三と松田定次が共同監督した『雷電』で主演を務めました。この作品で、江戸時代の大関・雷電爲右エ門を演じ、時代劇俳優としての地位を確立しました。同作には、後に映画監督として名を馳せるマキノ正博（マキノ雅弘）も「牧野正博」名義で出演しています。同年10月、マキノ正博監督の『浪人街 第一話 美しき獲物』では、南光明、谷崎十郎、河津清三郎と共に主演を務め、同作はキネマ旬報ベストテン第1位を獲得しました。その後、田村虚舟との共同監督作品『親子鴉』で映画監督としてもデビューしました。

1931年（昭和6年）、根岸はマキノ・プロダクションで『片手無念流 前篇』を監督しましたが、同社が製作不能となり、河合映画製作社へ移籍しました。河合では第二篇・完結篇を監督し、シリーズを完結させました。1933年（昭和8年）、河合映画が大都映画に改組された後も、引き続き監督業を務めました。河合・大都時代には出演作はありません。

1935年（昭和10年）、マキノ正博がマキノトーキー製作所を設立すると、根岸も同社に移籍し、『無鉄砲選手』を監督しました。マキノトーキーでは11作のトーキー映画を監督し、自身もマキノが監督した『丹下左膳 乾雲必殺の巻 第一篇』、『丹下左膳 坤竜呪縛之巻』に出演しました。しかし、1937年（昭和12年）4月にマキノトーキー製作所は解散となりました。

1939年（昭和14年）には、日活京都撮影所で数本の映画に出演しましたが、それ以降の記録は見当たらず、晩年は不遇であったとされています。終戦後間もなく死去したと伝えられていますが、没年は不詳です。

主なフィルモグラフィ

特筆がない限り、出演作品です。

『法を慕ふ女』 (1925年、監督：村田実・三枝源次郎)
『海国男児』 (1926年、監督：溝口健二)
『人の一生 人生万事金の巻 第一篇』(1926年、監督：溝口健二)
『人の一生 浮世は辛いねの巻 第二篇』(1926年、監督：溝口健二)
『人の一生 クマとトラ再会の巻 第三篇』(1926年、監督：溝口健二)
『雷電』 (1928年、監督：牧野省三・松田定次)
『浪人街 第一話 美しき獲物』 (1928年、監督：マキノ正博)
『親子鴉』 (1928年、共同監督：田村虚舟、初監督・主演)
『浪人街 第二話 楽屋風呂 第一篇』(1929年、監督：マキノ正博)
『浪人街 第二話 楽屋風呂 解決篇』(1929年、監督：マキノ正博)
『浪人街 第三話 憑かれた人々』(1929年、監督：マキノ正博)
『首の座』 (1929年、監督：マキノ正博)
『学生三代記 天保時代』 (1930年、監督：阪田重則・松田定次・三上良二)
『琵琶湖シャンソン』 (1930年、監督・主演)
『片手無念流』前篇・第二篇・完結篇 (1931年、監督)
『異人斬 東禅寺の血煙』 (1932年、監督)
『大丈夫の松五郎』 (1933年、監督)
『新籠の鳥』 (1933年、監督、大都映画設立第1作)
『女はどうなるか』 (1934年、監督)
『母の心』 (1935年、監督)
『無鉄砲選手』 (1935年、監督)
『虞美人草』 (1935年、監督：溝口健二)
『芝浜の革財布』 (1936年、共同監督：マキノ正博、監督)
『艶福佐官侍』 (1936年、監督)
『ごろんぼ街』 (1936年、共同監督：マキノ正博、監督)
『丹下左膳 乾雲必殺の巻 第一篇』 (1936年、監督：マキノ正博)
『丹下左膳 坤竜呪縛之巻』 (1936年、監督：マキノ正博)
『豪快三浪人』 (1939年、監督：紙恭平)
『牢獄の花嫁』 (1939年、監督：荒井良平)
『牢獄の花嫁 解決篇』 (1939年、監督：荒井良平)

外部リンク

Toichiro Negishi - IMDb（英語）
根岸東一郎 - 日本映画データベース
* 根岸東一郎 - allcinema

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