起源経

起源経（きげんきょう）について

『起源経』は、パーリ仏典の一部であり、経蔵長部の第27経に位置づけられています。この経典は、ブッダ（釈迦）が世界と人間社会の成り立ちについて教えを説いたものです。また、類似する漢訳経典も存在し、『長阿含経』や『白衣金幢二婆羅門縁起経』などが挙げられます。ただし、同じような題名の経典があるものの、内容的には異なる系統に分類されることに注意が必要です。

構成と登場人物

この経典は、主に以下の登場人物が関与しています。

• - 釈迦: 主人公として教えを説く。
• - ヴァーセッタ: バラモンから出家した比丘。
• - バーラドヴァージャ: 同じく、バラモンから出家した比丘。

物語の舞台は、コーサラ国のサーヴァッティにあるミガーラマーター講堂です。ある日、釈迦がヴァーセッタとバーラドヴァージャに近況を尋ねると、彼らは過去にバラモン仲間からの誹謗を受けていることを告白します。

釈迦の教え

釈迦は、五戒を守り、三毒から離れた者は身分に関係なく高貴であると強調します。一方、悪業を為す者は身分問わず卑劣であり、地獄に堕ちてしまうと語ります。 また、彼は世界の成り立ちについて、光音天から堕ちてくることで梵天界や地上界が形成され、さらに四つの身分秩序（カースト）が生まれる過程を説明します。最後に、法を求める修行者（沙門）が現れるとします。

この教えに触れたヴァーセッタとバーラドヴァージャは、釈迦の言葉に感動し、信仰を深めます。

人間の起源と道徳の発展

物語は、盗みの発生についてのエピソードから始まります。意地汚い生ける者が他人の土地を不正に利用したことで、初めて盗みという概念が生まれ、罰が必要であることが認知されるようになります。この時、生ける者たちの間に深い議論が生まれ、悪行を正すために一人の指導者を選ぶことが提案されます。

選ばれた者は、正当な理由で怒りや叱責、追放を行い、その見返りに生ける者たちから稲米を贈呈されます。このようにして選ばれた者は「マハーサンマタ」と呼ばれ、権威を持つようになりました。また、「クシャトリア」という言葉も、この時生まれたことが説明され、王（ラージャ）という役職が生じる過程も描かれます。

これにより、倫理基準や社会ルールが形成され、理法は現世のみならず来世においても人間にとって最も重要なものであるとされます。

結論

『起源経』は、倫理や人間関係の基盤を教える重要な経典です。釈迦の教えは、どのようにして身分や秩序が生まれたのかを理解するための深い洞察を提供し、現代に生きる私たちにとっても多くの示唆を与えます。

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関連項目

• - 五戒
• - 三毒
• - カースト

参考文献

• - 『南伝大蔵経・経蔵・長部経典3』（第8巻）
• - 『パーリ仏典 長部（ディーガニカーヤ） パーティカ篇I』
• - 『原始仏典 長部経典3』

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