超速3七銀

超速3七銀：ゴキゲン中飛車急戦の妙手

超速3七銀（ちょうそくさんななぎん）は、将棋における居飛車側の急戦戦法です。特にゴキゲン中飛車に対して有効とされ、その激しい攻めから、近年注目を集めています。2010年には、考案者である星野良生棋士（当時奨励会三段）が升田賞を受賞するなど、その革新性が認められています。

この戦法の核心は、先手（居飛車側）が▲3七銀と銀を早期に繰り出し、4六に前進させることにあります。これにより、中飛車の陣形を崩し、素早い攻めを仕掛けます。後手（中飛車側）も同様に、左銀を4四に繰り出して対応しますが、先手の攻撃の勢いを止めるのは容易ではありません。

玉の配置と戦術的選択肢

超速3七銀では、玉の配置が非常に重要です。先手は玉を6八に構えるのが一般的です。7八に構えると、△5六歩と突き捨てられて、中飛車側に有利な展開になりかねません。6八に構えることで、中飛車の攻めを柔軟に対応し、局面に応じて居飛車穴熊に転じるなど、様々な選択肢を確保できます。

ゴキゲン中飛車との激闘

ゴキゲン中飛車は1990年代後半から広く用いられてきた戦法ですが、2004年ごろから超速3七銀が登場し、その勢力は大きく揺らぎました。ゴキゲン中飛車側は超速3七銀への対策に追われ、両者間で激しい駆け引きが繰り広げられています。先手後手どちらからも指せる超速3七銀ですが、ゴキゲン中飛車との相性は先後によって大きく異なり、先手中飛車であれば十分に対抗できますが、後手番では二枚銀などの対策が進んでおり、苦戦を強いられることが多いです。

▲7七銀以降の分岐点

▲7七銀以降の展開は、後手の対応によって大きく変化します。後手は△5六歩と5筋を交換するか、△8二玉と囲いを優先するかを選択することになります。

△5六歩の場合: 激しい攻防が展開され、▲同歩△同飛と交換した後、▲5五歩△同銀▲4五銀など、複雑な手順が続きます。
△8二玉の場合: 先手は▲6六銀と進めるのが一般的です。その後、▲5八金右や▲4五桂などの手が検討されています。2018年王将戦第3局では、△2二角に▲2四歩△同歩▲同飛△3三桂と続く進行が見られました。

クロスファイヤー

後手の中飛車が左銀を4四に構え、先手の居飛車が右銀を4六、左銀を6六に繰り出す指し方は「クロスファイヤー」と呼ばれます。この状況では、先手の▲3七桂に後手は△5六歩▲同歩△同飛と交換できます。この後、▲5八金右に対しては△5一飛と引くのが有効です。先手が▲5五歩と飛車閉じ込めを狙う場合も、後手は△3五歩に▲4五桂でも▲2六飛でも△1五角と対応し、△4六飛～3七角成を狙います。

様々な進行例と対応策

△4四銀型以外にも△3二金-4二銀型など、様々な後手の対応があります。先手は▲4五銀と角頭を攻めることもできますし、▲5八金右からじっくりと指すことも可能です。後手はこれらの変化に対応する必要があります。超速3七銀は積極的な戦法ですが、居飛車側は細かい知識と読みが要求され、中飛車側も容易に対処できるものではありません。

参考文献

2014年6月26日　第４期リコー杯女流王座戦二次予選 清水市代女流六段　対　真田彩子女流二段(16手目の棋譜コメント) - リコー杯女流王座戦棋譜中継、2014年6月26日
Kitao, Madoka Kawasaki訳 (2011). Joseki at a glance. Nekomado. ISBN 978-4-9052-2501-0
* 杉本, 昌隆 (2016). ゴキゲン中飛車VS超速☗4六銀戦法. マイナビ出版. ISBN 978-4-8399-6076-6

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