越ノ海東治郎

越ノ海東治郎（こしのうみ とうじろう）は、1906年7月1日に新潟県西頸城郡根知村（現在の糸魚川市）で生まれました。本名は渡邊東治郎で、旧姓は加藤です。彼は、1925年1月場所で若藤部屋から初土俵を踏み、大相撲の世界に入りました。

1931年5月場所で十両に昇進しますが、すぐに幕下へ陥落します。しかし、1932年1月6日に発生した春秋園事件の影響で、2月場所では十両に格上げされ、同年5月場所で新入幕を果たしました。右四つからの上手投げは非常に強力で、観客を魅了しましたが、連敗癖が災いし、幕内上位に進出することはできませんでした。

1933年9月30日、巡業先の山口県萩市で、越ノ海と同期入門の沖ツ海福雄が、師匠・若藤の娘と婚約し、部屋を継承することが決定しました。沖ツ海は越ノ海より年下でしたが、この直前の場所で東関脇として7勝3敗1分という好成績を収めており、将来の大関候補と目されていました。しかし、祝杯の席で沖ツ海が調理したフグを食べた際、沖ツ海自身がフグ中毒を起こし、その場で亡くなってしまいます。これにより、越ノ海は部屋頭として若藤部屋を率いることになりました。この悲劇は、越ノ海の人生に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

その後、越ノ海は師匠である上ヶ汐福治郎の長女と結婚し、婿養子となりました。1935年に師匠が亡くなると、1936年に二枚鑑札で年寄・若藤を襲名し、若藤部屋を継承します。しかし、1937年1月場所において、11戦全敗という結果に終わり、幕下陥落が決定したため、現役を引退し、年寄専務となりました。その後、木戸部長や桟敷部長などを歴任し、1971年に停年退職しています。また、1948年には弟子の小戸ヶ岩の引退に伴い、部屋を閉鎖し、伊勢ヶ濱部屋の部屋付き親方となりました。

越ノ海の主な成績は、通算幕内成績が29勝37敗、勝率.439、幕内在位は6場所です。1932年1月場所の番付では幕下東9枚目に位置していました。また、現役時代には何度も改名を繰り返しており、越ノ海藤二郎、越ノ海東二郎、越ノ海東次郎、越ノ海東治郎、越ノ海東十郎といった名前を使っていました。年寄としては、若藤東二郎、若藤達之助を名乗りました。

越ノ海は、その波乱に満ちた人生の中で、力士としてだけでなく、部屋を運営する親方としても奮闘しました。彼の人生は、大相撲の世界の厳しさと、そこで生きる人々の様々なドラマを物語っています。

主な成績

通算幕内成績：29勝37敗 勝率.439
幕内在位：6場所

場所別成績

1932年1月番付では幕下東9枚目

改名歴

越ノ海 藤二郎：1925年1月場所 - 同年5月場所、1930年1月場所 - 同年10月場所
越ノ海 東二郎：1926年1月場所 - 同年5月場所、1929年5月場所 - 同年9月場所、1931年1月場所 - 同年3月場所、1932年2月場所 - 同年3月場所
越ノ海 東次郎：1931年5月場所 - 同年10月場所、1936年5月場所 - 1937年1月場所（引退）
越ノ海 東治郎：1932年5月場所 - 1936年1月場所
越ノ海 東十郎：1927年1月場所 - 1929年3月場所

年寄

若藤　東二郎：1937年5月　-　1949年5月
若藤　達之助：1949年10月　-　1971年6月（停年退職）

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