越山太刀三郎

越山太刀三郎は、1863年（文久3年）に伊勢国（現在の三重県）で生まれました。津藩士高畑蔀の三男として誕生し、後に越山みちの養子となり家督を継承しました。幼少期から学問に励み、1881年（明治14年）には滋賀師範学校を卒業。小学校教員として教鞭を執りました。

その後、越山は中央官界へと進み、内閣や枢密院で勤務しました。そこで、政治家・官僚の伊東巳代治と出会い、その知遇を得たことが彼の人生を大きく変える転機となります。1891年（明治24年）には、東京日日新聞日報社の専務に就任し、実業界でのキャリアをスタートさせました。

実業家としての越山は、その手腕を多岐にわたる分野で発揮しました。帝国商業銀行の監査役、東京電燈の常務取締役、日本紙器の監査役などを歴任し、さらに東台銀行の取締役会長、大正板硝子の監査役を務めました。これらの役職を通じて、彼は日本の経済発展に大きく貢献しました。

政治家としての越山は、1917年（大正6年）の第13回衆議院議員総選挙で津選挙区から無所属で出馬し、見事当選を果たします。続く第14回衆議院議員総選挙でも再選を果たし、2期連続で衆議院議員を務めました。議会では庚申倶楽部に所属し、政策立案に尽力しました。1925年（大正14年）には、池上電気鉄道の社長に就任し、1927年（昭和2年）までその職を務めました。

越山太刀三郎は、激動の明治・大正時代を、政治家、実業家として駆け抜けました。その足跡は、現代の私たちにも多くの示唆を与えてくれます。

参考文献
人事興信所 編『人事興信録 第8版』人事興信所、1928年。 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2127124。
衆議院、参議院 編『議会制度七十年史 第11』大蔵省印刷局、1962年。https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3000139。

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