越後府

新潟[[県]]成立までの複雑な道のり：新潟裁判所から新潟[[県]]へ

現在の新潟[[県]]は、幕末期の複雑な歴史を経て成立しました。この地域は幕府直轄領であり、日米修好通商条約により開港場となった新潟町を抱えていました。また、戊辰戦争においては、長岡藩、会津[[藩]]、桑名[[藩]]など新政府軍と対立した勢力が領地を有し、激戦地の一つとなりました。そのため、新潟[[県]]の成立過程は他の府県と比較して非常に複雑で特異な経緯を辿っています。

新潟裁判所の設置と越後府（第1次）の成立

1868年（慶応4年）、新政府は、新潟奉行所に代わる行政機関として新潟裁判所を設置しました。総督には四条隆平が任命されましたが、この時点では越後国内の多くは新政府軍の支配下になく、四条自身も江戸に留まっていたため、新潟裁判所は名目的な存在に留まりました。

同年5月23日、新潟裁判所は廃止され、越後府（第1次）が設置されました。管轄区域は、旧幕府直轄地に加え、水原、出雲崎、川浦の各代官支配地域も含まれていました。「新潟府」ではなく「越後府」と名付けられたのは、この広範囲な管轄区域を反映していると考えられます。

知事の任命はなく、四条隆平が引き続き職務を代行しました。権判事には南部彦助、渡辺儀右衛門、宮原積ら各藩の士が任命され、府の運営を支えました。府の組織は当初、四条が滞陣していた高田に置かれ、治安維持や民政にあたりました。これは軍政機関としての総督府と一体的に機能していたと考えられています。

新政府軍の支配地域拡大に伴い、6月1日には四条が柏崎に出張、権判事らを柏崎に配置して旧幕府領や反政府勢力の領地の人心掌握にあたらせました。この柏崎への移転は、越後府（第1次）の事実上の移転と解釈することもできます。

7月27日には柏崎県（第1次）が設置され、越後府（第1次）の管轄区域は越後国北部に縮小されました。しかし、両府県の管轄区域の明確化には混乱があり、柏崎県（第1次）は事実上越後府（第1次）の管轄下に置かれていたとも考えられています。

新潟府への改称と混乱

7月29日、新政府軍が長岡城と新潟町を占領し、8月には越後全域が新政府軍の支配下に入りました。これにより、北越戦争は終結しました。

9月21日、越後府（第1次）は新潟府と改称されました。これは、柏崎県（第1次）の設置による管轄区域の縮小と、11月19日の新潟開港を控えた外交・内政の一元化の必要性からと考えられます。しかし、「新潟府」と「越後府」の名称は混同して用いられ、「越後府」の名称の方が一般的だったようです。

11月2日、柏崎県（第1次）と新潟府の間で事務引継ぎが完了し、実質的に分離しました。11月7日には、四条とともに新潟府の本庁は長岡に移転しました。しかし、この間の政府の方針は定まらず、10月28日には四条が罷免され、西園寺公望が新たな知事に任命されました。さらに、柏崎県（第1次）は廃止され新潟府に合併され、佐渡県も新潟府の管轄下に入ることになりました。しかし、これらの決定は現地で強い反発を招き、実際には柏崎県（第1次）は廃止されず、西園寺も赴任しませんでした。混乱は1月16日、楠田十左衛門が新潟に着任するまで続きました。

しかし、1月20日未明、信濃川の分水問題（関屋掘割騒動）が発生し、新潟町が孤立したことから、政府は越後全域を新潟町から統治することに困難を感じ始めました。

越後府（第2次）、新潟[[県]]（第1次）、そして水原県へ

そこで政府は、新潟府を存続させたまま、2月8日、越後国内直轄地の統一的支配を目的に越後府（第2次）を再設置し、府庁を水原に置きました。知事には壬生基修が任命されました。

2月22日、柏崎県（第1次）の廃止と新潟府の改称が改めて布達されました。新潟府は新潟[[県]]（第1次）と改称され、管轄地は新潟町に限定されました。これにより、越後・佐渡両国の直轄地を管轄する越後府（第2次）と、新潟町政と外交を管轄する新潟[[県]]（第1次）が並立する体制となりました。しかし、この内政と外交の分離政策には反対意見も多くありました。

最終的に政府は内政と外交の統一案を受け入れ、7月27日、越後府（第2次）と新潟[[県]]（第1次）を廃止し、両府県を統合した水原県を設置しました。水原県はその後、1870年（明治3年）に新潟町に本庁を移転し、新潟[[県]]（第2次）となり、現在に至っています。

このように、新潟[[県]]の成立過程は、戊辰戦争後の混乱と政府の方針転換を反映した複雑で、紆余曲折のあったものでした。

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