越智氏

越智氏についての詳細

越智氏（おちうじ）は、古代日本の伊予国（現在の愛媛県）を拠点とする氏族です。この一族は、「越智」という名を称し、地域の豪族として知られています。その起源についてはさまざまな説が存在し、伊予守が輩出されたことや南海道の発展に関連があったとの見解もありますが、具体的な証拠はなく、その関係性についてははっきりしていません。

概要

越智氏の出自は、越智郷（現在の今治市国分付近）にさかのぼります。4世紀の後半に近畿政権により導入された国造制により、愛媛の西部地域には五国造が設置され、都から派遣された豪族たちがその地方を支配しました。その中で物部氏の大新河命の孫である小致命（おちのみこと）が小市国造としての越智氏の始まりとされています。この内容は『国造本紀』にも記録されています。また、越智直については『新撰姓氏録』で言及されています。

8世紀初頭には、律令制の導入により十四郡に対して小市国造が「越智郡」と名付けられ、国府や国分寺がその土地に置かれました。『和名類聚抄』では、越智氏と国府の関係についても触れられていますが、越智氏が元々地域の豪族であったとの見解もある一方で、確証に至る発掘調査は未だ結論に至っていません。

越智氏として初めて歴史に登場するのは、越智郡の大領である越智直（おちのあたい）です。彼は白村江の戦いで捕虜となりますが、観音菩薩のご加護によって無事帰還し、その後観音菩薩を奉じて寺院を建立したとされ、その逸話は『日本霊異記』に記されています。越智直は仏教を取り入れることで地域の支配を再構築しようとしたことが伺えますが、具体的な建立された寺院の位置は不明です。

伊予の歴史の中では、神護景雲元年（767年）において、献物によって叙位された越智郡の大領として知られる越智直飛鳥麻呂と越智直国益が初めて名前を記録されます。天暦2年（948年）には、越智用忠が海賊の平定の功により叙位され、承平天慶の乱では政府軍として戦ったことが知られています。さらに、永延元年（987年）の相撲大会では越智常世が伊予から参加しているなど、その後も越智氏は歴史に登場しますが、長保4年（1002年）以降は、越智氏は伊予の公には現れなくなります。

寛仁2年（1018年）には、伊予守の源頼光が藤原道長にお礼をした記録があり、11世紀から12世紀にかけての時期には、地方豪族である在庁官人が実権を持っていたことも明らかです。このことから、源氏が伊予守として越智氏と関係があった可能性が指摘されています。源頼光は清和[[源氏]]の三代目であり、その異母弟である源頼親との関係や、越智氏のその後の動向が不透明であることから、この一族の存在はなかなか解明されません。

河野氏の記録である『予章記』においても、越智氏の起源は曖昧であり、孝霊天皇の第三皇子伊予皇子の子孫として描かれることもありますが、これは裏付けのない話です。また、越智氏の系譜が河野氏の系譜と混同されることも多く、歴史的な事実への疑念が指摘されています。

今治市の大三島町にある大山祇神社によると、河野氏から派生した越智氏は、鎌倉時代に家名を大祝氏に改名しました。そして、現在も三島家がその神職を受け継いでいます。興味深いことに、越智という姓は今治市において今なお最も多く見られる姓として残り続けています。明治初期の公文書では、伊藤博文が「越智宿禰博文」と記していたことが、歴史の一端を物語っています。

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