越渇磨島

越渇磨島（エカルマ島）について

越渇磨島は、千島列島中部に位置する島で、ロシア名はエカルマ（o. Экарма）、英語ではEkarmaとして知られています。この島の名称の由来は、アイヌ語の「エカリ・マ・ウシ」で、「安全な船着場の多い所」という意味です。これは、島の周辺に暗礁がなく、船の進入が容易であることに関連しています。

地理的特徴

越渇磨島は、周囲が捨子古丹島との越渇磨海峡を挟んで北西に約9キロメートル離れた位置にあります。また、島の面積は長方形で、東西約7.4キロメートル、幅約5.5キロメートルです。地質は安山岩質の火山で形成されており、淡水源としては主に雨水に依存しています。島内には湖や著名な河川は存在せず、珍しくも高温の硫黄泉がいくつかの場所で湧き出ています。この島の最高点は、海抜1,170メートルの越渇磨岳で、ロシア語ではエカルマ山と呼ばれています。

さらに興味深い点は、越渇磨島と隣接するシアシュコタン島が、日本最東端の南鳥島の北方、ほぼ同一の経度154度上に位置していることです。このため、地域の観光や探訪において重要な位置を占めています。

歴史の歩み

越渇磨島に関する記録は、1700年に遡ります。松前藩が幕府に提出した元禄国絵図のための文書に「ゑかるまし」という名称が見られます。1855年には日露通好条約によってロシアの領土となり、その後1875年に樺太・千島交換条約に基づき日本の領土として扱われることになりました。

1893年には、飢餓の影響で越冬していた千島報效義会の会員5名が越渇磨島にて漁業中に遭難し、全員が死亡した悲劇が記録されています。1995年からは、日本に渡来する絶滅危惧種であるシジュウカラガンの放鳥が始まり、2010年まで続きました。

日本の行政区分では、越渇磨島は北海道根室振興局管内の占守郡に属していましたが、現在はロシア連邦が実効支配しています。しかし、日本政府は国際法に基づき、同地域を帰属未定地として主張し続けています。

島の文化と自然

越渇磨島は、その独自の自然環境と歴史的背景から、多くの探訪者や研究者に関心を集めています。多様な動植物が生息するこの島は、生態系の研究や自然観察にとっても重要な場所です。また、地元の文化や伝承に触れることができる貴重なスポットでもあります。

参考文献と外部リンク

本島に関する詳細な情報は、北方領土問題に関する書籍『北方領土地名考』（北方領土問題対策協会編、1978年）を参照することができます。また、千島列島や周辺の観光情報は、関連する外部リンクを活用して得ることができます。

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