越韓関係

越韓関係の歴史と現状

ベトナムと韓国の関係は、過去の戦争という負の側面と、経済協力や文化交流といった両面を持ち合わせています。ここでは、両国間の複雑な歴史を紐解き、現在の密接な関係について詳しく解説します。

国交樹立以前

1955年、韓国は南ベトナム（ベトナム共和国）を国家として承認し、翌1956年には国交を樹立しました。しかし、1964年に勃発したベトナム戦争によって、両国関係は大きな転換点を迎えます。その後、1992年に現在のベトナム社会主義共和国と国交を樹立し、新たな関係を築き始めました。

ベトナム戦争

1964年から1973年まで、韓国軍はベトナム戦争に参戦しました。この戦争で5000人もの戦死者を出し、南ベトナムではハミの虐殺のような大規模な戦争犯罪も発生しました。この戦争は、両国関係に深い影を落としました。

補償問題

国交正常化の際、ベトナム政府は過去の戦争に対する補償を求めないことを決定しました。しかし、民間レベルでは、韓国軍の戦争犯罪被害者などが謝罪と補償を求め、裁判やその他の活動を行っています。また、韓国国内でも、革新系のメディアを中心に被害者への補償を求める声が上がっています。しかし、両国政府ともに過去の真相究明には後ろ向きな姿勢であり、ベトナム政府はこれらの民間団体の調査にも協力していません。ベトナム政府は、過去の補償問題が経済的な結びつきに悪影響を及ぼすことを懸念している他、北ベトナム側の戦争犯罪といった国内問題が関係していると見られています。特に、被害者の多くが南ベトナム出身者であることも、現政権の対応に影響を与えていると指摘されています。BBCが韓国軍の戦争犯罪被害者に関するドキュメンタリー番組の制作を申し出た際にも、ベトナム政府はこれを拒否しました。

国交樹立後の関係

2018年、文在寅大統領がベトナム戦争での虐殺を念頭に「遺憾の意」を表明しました。これは、過去の過ちに対する韓国側の姿勢を示す重要な出来事でした。

経済関係

経済面では、両国間の関係は非常に緊密です。2020年の韓国企業によるベトナムへの直接投資額は、シンガポールに次いで2番目に多く、39億ドルに達しました。2019年時点で、ベトナムは韓国にとって輸出では3番目、輸入では5番目の重要な貿易相手国となっています。2015年には、ベトナム・韓国自由貿易協定が発効し、両国間の経済関係はさらに強化されました。2010年代中頃から、韓国からベトナムへの直接投資は急増しており、2000年の7000万ドルから2020年には26億ドルへと大幅に増加しました。JETROのデータによると、ベトナムに進出している日本企業は約2000社であるのに対し、韓国企業は約8000社と圧倒的に多く、在住者数も、日本人の2万2000人に対し、韓国人は20万人を超えています。

民間交流

民間レベルでの交流も盛んです。2020年時点で、韓国には約20万人のベトナム人が滞在しており、中国に次いで2番目に多い外国人コミュニティを形成しています。国際結婚も多く、特に韓国人男性とベトナム人女性の結婚は、2015年以降、毎年5000件前後に達しています。

外交使節

両国間の外交関係を支える大使館は、以下の通りです。

駐ベトナム韓国大使

崔徳新（1956～1961年）
朴東鎮（1961～1962年）
申尚澈（1962～1970年）
柳陽洙（1971～1974年）
金栄寛（1974～1975年）

駐韓ベトナム大使

ズオン・バン・ドゥック（1956～1957年）
グエン・クイ・アイン（臨時代理公使、1957～1958年、臨時代理大使、1958～1964年）
ゴ・トン・ダット（臨時代理大使、1964～1966年、1966～1967年）
ド・カオ・トリ（1967～1968年）
ダン・ゴック・デュー（臨時代理大使、1968～1969年）
* ファム・スアン・チュウ（1969～1975年）

まとめ

ベトナムと韓国の関係は、過去の戦争という影を抱えながらも、経済協力や人的交流を通じて強固なものとなっています。過去の負の遺産を乗り越え、両国がより良い未来を築いていくことが期待されます。

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