趙南哲

趙南哲（チョ・ナムチョル）：韓国囲碁界の開拓者

趙南哲（チョ・ナムチョル、조남철、1923年11月30日 - 2006年7月2日）は、韓国の囲碁棋士であり、現代韓国囲碁の礎を築いた人物です。全羅北道扶安郡で生まれ、木谷實九段の門下で腕を磨き、九段に昇段しました。彼は韓国人として初めて日本棋院のプロ棋士となり、その後の韓国囲碁界の発展に大きく貢献しました。

生い立ちと日本留学

幼少期から囲碁に親しみ、その才能は早くから開花しました。1934年、来日中の木谷實がソウルに立ち寄った際、趙南哲の噂を聞きつけ、彼と指導碁を打ちました。木谷はその才能に惚れ込み、その場で入門を勧めました。1937年、14歳で来日し、木谷門下生となり、本格的に囲碁の修行を始めます。1941年には17歳で日本棋院の初段となり、韓国人初のプロ棋士となりました。

韓国囲碁界への貢献

1943年に帰郷し、終戦後は、日本棋院をモデルとした囲碁組織の設立を目指しました。1945年に漢城棋院を設立し、その後、朝鮮棋院、大韓棋院と名前を変え、現在の韓国棋院に至ります。1950年に韓国で初めて行われた段位決定戦で三段に認定されました。朝鮮戦争では韓国軍兵士として従軍し負傷しましたが、その後も囲碁団体設立への情熱は衰えず、1955年に韓国棋院を設立しました。1956年から始まった国手戦では、第1期から9連覇を達成するなど、1950年代から60年代にかけて韓国囲碁界のトップ棋士として活躍しました。

また、趙南哲は後進の育成にも尽力しました。金寅、趙祥衍（趙治勲の兄）、趙治勲、曺薫鉉といった後の韓国囲碁界を牽引する棋士たちの日本留学を支援し、彼らの成長を支えました。趙南哲が日本で学んだ自由布石の囲碁を韓国に普及させたことも、韓国囲碁のレベル向上に大きく貢献しました。それまでの韓国では、事前置碁制の巡将碁が主流でしたが、趙南哲がもたらした新たな囲碁スタイルは、韓国囲碁界に大きな変革をもたらしました。

その他の活動と晩年

1983年には九段に昇段し、1984年には韓国棋院の名誉理事長に就任しました。また、日本棋院から大倉賞を授与されるなど、その功績は国際的にも認められました。1989年には銀冠文化勲章、1998年には雲耕賞文化言論部門賞を受賞するなど、数々の栄誉に輝いています。2006年、老衰のため82歳で亡くなりました。彼の死を悼み、盧武鉉大統領が弔花を贈り、金冠文化勲章が追叙されました。2019年には、日本棋院の第16回囲碁殿堂入りを果たし、その偉大な功績が改めて称えられました。

タイトル歴

趙南哲は、数々のタイトルを獲得しました。

全国棋士選手権戦 1948-55年（1950-52年は開催せず）
国手戦 1956-64年
王座戦 1958、69年
覇王戦 1959-62年
最高位戦 1959-66年（63年は開催せず）
名人戦 1968、70年
* 最強者戦 1973年

まとめ

趙南哲は、韓国囲碁界の黎明期を支え、発展に大きく貢献した偉大な棋士でした。彼の功績は、韓国囲碁界の歴史において永遠に語り継がれるでしょう。また、趙治勲の叔父としても知られています。

外部リンク

韓国棋院の趙南哲プロフィール

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