趙愷

趙愷（ちょうがい）

趙愷（生年不詳 - 淳熙7年2月9日（1180年3月6日））は、南宋時代の皇族であり、諡号は恵憲王。

生涯

第2代皇帝である孝宗と郭氏の間に次男として生まれる。兄には早世した荘文太子趙愭がおり、弟には光宗がいる。趙攄と趙抦の二人の息子がいる。

趙愷は寛大で思いやりのある性格であり、右内率府副率に任命された。父である孝宗が即位すると、慶王に封じられている。兄である荘文太子趙愭が亡くなった後、同母弟である恭王趙惇（後の光宗）が皇太子の座を射止めたことで、趙愷は魏王に移封された。

恭王を皇太子に冊立する詔が下された際、趙愷は太上皇であった高宗に呼び出された。居所に戻ると、恭王が太子として立てられたことを知った。その後、高宗に再び謁見し、「おじい様（高宗）が私を引き留めたために、弟が太子になった」と残念な気持ちを表したという。

帝位継承の構図からは外れたものの、皇族としての身分は保障され、夫人は華国夫人に昇格するなど、父である孝宗は趙愷の存在に配慮していた。

魏王としては、領地において農業や水利といった内政に尽力し、民衆の生活安定に貢献する一方で、教育にも力を注いだ。自らの領地で収穫された農作物を孝宗に献上し、その業績を賞賛されている。淳熙元年（1174年）には、通判として明州に赴任した。

明州では、現地の田租を軽減したり、学問を振興させるなどの善政を施した。二股に分かれた麦を描いた絵を朝廷に献上すると、孝宗から励ましの手詔を受けている。淳熙4年（1177年）には、荊南・集慶軍節度使・行江陵尹が加わり、翌淳熙5年（1178年）には永興・成徳軍節度使・揚州牧に移ったが、引き続き明州通判の位も兼ねている。淳熙7年（1180年）2月、孝宗に先立って亡くなった。

趙愷の政治手腕は後世にも高く評価され、彼の徳を偲ぶ祠と碑が建てられ、名君として讃えられた。息子の趙抦が後を継いだが、父と同様に早世し、趙抦の子である趙垓も3歳で夭折したため、趙愷の系統は断絶した。

参考文献

『宋史』巻34～35 孝宗本紀、巻246 魏恵憲王伝
『西湖遊覧志餘』

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