足利潤童子

足利潤童子とは

足利潤童子（あしかが じゅんどうじ）は、生年不詳ながら、延徳3年（1491年）に亡くなったとされる室町時代後期の人物です。足利氏一門で、初代堀越公方である足利政知の三男として生まれました。母は武者小路隆光の娘であり、政知の側室（または正室とも）であった円満院です。実兄には、室町幕府の11代将軍となる足利義澄がいます。

生涯

潤童子の人生は、兄たちの運命に大きく左右されました。異母兄である茶々丸は素行が悪かったため、父・政知によって廃嫡され、幽閉されてしまいます。また、同母兄の義澄は政知の意向により、将軍後継候補として京都の天龍寺香厳院に入ることになりました。これにより、潤童子が後継者、つまり世子に指名されることとなったのです。

この背景には、母である円満院の強い影響があったとも言われています。一説によれば、円満院が潤童子を後継者にしたいがために、茶々丸を讒言し、元服もさせずに廃嫡・幽閉させたともされています。

延徳3年（1491年）4月、父・政知が亡くなると、円満院が家政を取り仕切り、潤童子による家督継承が図られました。しかし、その直後の7月1日、幽閉されていた茶々丸が牢番を殺して脱獄し、潤童子は母・円満院とともに殺害されてしまうという悲劇的な結末を迎えます。

この事件の後、兄である義澄が11代将軍に就任します。義澄は、幕府奉公衆であった伊勢宗瑞（後の北条早雲）に命じ、生母と実弟を殺害した茶々丸を攻撃させました。これが、いわゆる伊豆討ち入りと呼ばれる戦いにつながったとされています。

潤童子の死がもたらした影響

潤童子の死は、足利家、そして室町幕府に大きな影響を与えました。彼の死は、一族内部の権力闘争が激化するきっかけとなり、後の戦国時代の動乱の一因となったとも言えるでしょう。また、伊勢宗瑞が台頭する契機にもなったと考えられます。

参考文献

黒田基樹『今川氏親と伊勢宗瑞 戦国大名誕生の条件』平凡社〈中世から近世へ〉、2019年1月。ISBN 978-4-582-47743-6。

関連項目

堀越公方

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