足尾町

足尾町の歴史と特徴

足尾町（あしおまち）は、かつて栃木県上都賀郡に存在した町であり、特に足尾銅山がその名を広めました。最盛期の1916年には38,428人もの住民が居住し、栃木県内では宇都宮市に次ぐ多くの人々が暮らしていました。しかし、1973年に銅山が閉山した後、町は急激に過疎化が進み、2006年には3,220人にまで減少しました。そして、同年3月20日には日光市と合併し、新たな日光市が誕生しました。

地理と地形

足尾町は栃木県の西端、利根川の支流である渡良瀬川の上流に位置し、標高600メートルから2,150メートルの間に広がっていました。面積の95%が山地であり、日光国立公園の一部でもあります。主な山岳には日本百名山に選ばれた皇海山や、備前楯山、庚申山などがあります。

歴史

古代から中世

古代において、この地域には石器や縄文土器が出土しており、人々の生活があったことが示されています。大化元年（645年）には足尾郷となり、延暦9年（790年）には中禅寺の神領となりました。大同3年（808年）には磐裂神社が建てられ、奈良時代から平安時代にはこの地が修業地として利用されました。

室町時代になると、武士が移り住み、農業集落が形成されました。豊臣秀吉による小田原征伐の際には、日光山の人々が北条氏に加担したことで、土地の大部分が没収されましたが、足尾村は日光山の領地として残されました。

近世の繁栄

江戸時代を迎えると、足尾は日光神領の一部となり、1610年に足尾銅山が発見されます。これにより町は幕府の管理下となり、銅の製造を行うことで経済が活発化しました。「足尾千軒」と呼ばれるほど商業が発展し、銅山から産出された銅は江戸城や日光東照宮の銅瓦に利用されました。

近代の課題

明治維新後、足尾銅山は古河市兵衛の経営となり、その発展は急速でした。1890年代には日本全体の銅の40%を生産する銅山となりました。しかし、1900年には日本初の公害事件である足尾鉱毒事件が発生し、地域住民は深刻な被害を受けました。特に、1902年には松木集落が廃村になりました。

現代の足尾

1973年には銅山が閉山され、町の人口は1970年の11,202人から急減しました。1978年には国道122号の日足トンネルが完成し、交通の便が改善されました。2006年の合併により、足尾町は新たに日光市となり、その名は歴史の中に埋もれていくこととなりました。

教育と施設

足尾町には栃木県立足尾高等学校や足尾中学校、足尾小学校などの教育機関がありました。特に足尾高等学校は1912年に設立され、地域の教育の中心的な役割を果たしました。合併後は日光市立足尾小中学校として、小中一貫教育が実施されています。

町内には足尾郵便局や日光警察署足尾交番などの施設が存在し、地域の生活を支えていました。また、古河掛水倶楽部や足尾銅山観光など、観光名所もあり、訪れる人々にその歴史と文化を伝えています。

まとめ

足尾町はその豊かな歴史と鉱山の遺産を持つ特異な地域でしたが、過去の繁栄が影を落とす現代の姿は、過疎化や社会の変化を象徴しています。今後もその歴史を学び、地域を支えていくことが求められるでしょう。

もう一度検索