足羽川ダム

足羽川ダムについて

足羽川ダム（あすわがわダム）は、福井県今立郡池田町に位置し、九頭竜川の支流である部子川に建設中のダムです。このダムは国土交通省近畿地方整備局が計画しており、堤高96メートルの重力式コンクリートダムとして設計されています。通常時は水を貯めない「穴あきダム」であり、完成すれば日本国内で最大規模のダムとなります。

1. ダムの設計と目的

元々、足羽川ダムは1983年に特定多目的ダムとして計画が立てられましたが、水没地域の住民からの強い反対により、計画は几度も修正を経ています。2004年の福井豪雨では、流域で深刻な被害が発生し、治水対策の必要性が改めて浮き彫りになりました。この結果、2006年に部子川を対象とした洪水調節専用のダムとして建設方針が定まり、2020年11月に着工されました。

ダムの設計では、洪水が発生した際に流水を一時的に貯めることにより、下流地域への洪水流下を抑制する仕組みが採用されています。具体的には、部子川の水流を確保しつつ、周辺の足羽川を含む複数の支流からも洪水を受け入れることが可能です。この仕組みによって、ダムの集水面積は105.2平方キロメートルに達し、効率的な治水を実現します。

2. 歴史と沿革

足羽川は1900年に放水路が整備されて以来、頻繁に治水対策が施されてきましたが、流域は浸水被害に悩まされ続けてきました。1967年から福井県は「足羽川総合開発事業」を開始し、多目的ダムの建設を計画します。1983年には事業が国土交通省に引き継がれ、特定多目的ダムとしての調査が進められました。

しかし、1994年に建設が始まるも水没予定者からの反対運動が激化し、ダム事業は停滞しました。さらに、検討段階で1997年に「現行のダム建設計画は住民の犠牲が多すぎる」との答申が出され、ダム建設はかつてないほどの厳しい状況に直面しました。ここで新たな治水計画を模索し、最終的に部子川にダムを建設する方向で協議が進みました。

3. 計画の再開と進展

2004年の豪雨災害を経て、ダムの必要性が再確認されました。これにより、池田町議会もダム建設に賛成する決議を行い、地域住民の意見も収集されました。2006年には改めて事業が再開し、具体的な建設計画が進められます。その後、国土交通省が2012年に建設計画の継続を決定し、着工式も2020年に行われました。

しかし、2023年には完成予定が当初の2026年度から2029年度へと3年延長され、事業費も約1300億円から約2500億円に増額される見込みです。これには、地盤改良工事や物価上昇などの影響が含まれています。

4. 現在の状況

現在、足羽川ダムは必要な工事を進めつつ、洪水調節の実現に向けた取り組みが続けられています。地元自治体や住民との協議も重要な要素となっており、今後の進展に注視が必要です。ダム計画は、地元社会と自然環境に配慮しつつ進むことが求められています。

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