身延饅頭

身延饅頭（みのぶまんじゅう）

身延饅頭は、山梨県身延町で生まれた伝統的な饅頭で、地域を代表する郷土料理の一つとして知られています。この饅頭は精進料理にも分類されており、特に日蓮宗の信者や参拝者に親しまれています。

概要

身延饅頭が発祥したのは、日蓮宗の総本山である身延山久遠寺。ここでは、肉や魚などの禁忌が厳格に守られており、寺院の環境は精神修行を行う僧侶たちのために特別な食事を必要としました。そのため、江戸時代初期に、久遠寺の法主の依頼を受けた甘養亭の河喜がこの饅頭を開発しました。饅頭の皮は小麦粉に醤油や黒糖を混ぜて作られ、漉し餡が包まれた形で蒸し上げられ、直径およそ10センチの大きさで、「みのぶ」の焼印が押されている特徴があります。

製造

身延饅頭は、主に身延山久遠寺周辺の門前町や身延駅前の商店街で製造されています。具体的には、甘養亭と松屋菓子舗（2019年閉店）、さらに栄昇堂がそれぞれ独自の製法で作り出しています。他にも、身延山の北部や南部では、さくら製菓が生産を行っています。

製造される饅頭には若干の違いがあり、甘養亭は一子相伝の秘伝のタレを使用して「身延萬寿」として製造しています。これらの製造過程から立ち昇る湯気は、新鮮さの象徴でもあります。また、甘養亭は、2006年に「みのぶまんじゅう」の商標を取得しましたが、他の店舗が同名を使用するのに制限はかかっていないため、栄昇堂などもこの名称を使用し続けています。

販売

身延饅頭は、観光客を対象に自家製造した店舗以外の土産物店でも購入可能です。また、身延町内の日蓮宗の寺院ではお茶受けとして、旅館やホテルではお菓子として提供されることが一般的です。ただし、手作りのために大量生産は難しく、賞味期限も短いため、販売範囲は身延町内に限定されています。2020年には栄昇堂が公式ウェブサイトを開設し、オンラインでの販売を開始しました。その後、甘養亭やさくら製菓もネットショッピングを導入し、身延饅頭の入手がより容易になりました。特に、甘養亭の饅頭は町外の道の駅や高速道路のSA・PAでも取り扱われるようになりました。

類似商品

身延饅頭と似た商品として、まるみまんじゅうがあります。これは身延駅前の土産物店で販売され、製造は甲府市にある平和堂によるものですが、漉しあんではなく粒あんを使用した点が異なります。また、しもべまんじゅうも存在し、これは旧下部町域の道の駅で見かけられ、漉しあんと粒あんの両方が提供されます。

参考情報

身延饅頭は、地域の食文化を象徴する存在であり、食べるだけでなく観光の一部としても重要です。また、同じ地域の特産として、ゆばがあり、身延山門で発展した精進料理の一部をなしています。身延饅頭の魅力は、その豊かな歴史と文化に根ざした味わいにあります。

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