車両識別番号

車両識別番号（VIN）徹底解説

車両識別番号（VIN: Vehicle Identification Number）は、世界共通の自動車識別コードです。17桁の英数字で構成され、製造メーカー、製造年、車種、製造工場などの情報が符号化されています。中古車の購入時などに、車両履歴の確認で活用されます。

VINの起源と概要

VINは、1954年にアメリカの自動車メーカーが導入したのが始まりです。1981年以前はメーカー独自の様式でしたが、その後国際標準化機構（ISO）によって標準化されました。現在では、ISO 3833で定義されています。

VINは、I、O、Qを除く17桁の英数字で構成されます。数字と混同しにくい文字が使用されていることが特徴です。

日本では、2015年8月下旬以降に生産されたUDトラックスの車両とマツダが製造していたアバルト・124スパイダーを除き、国内向け車両には国土交通大臣が定める「型式-番号」表記の車台番号が使用され、VINは採用されていません。ただし、輸出車両や海外工場生産車にはVINが使用されます。

VINの構成と各セクションの意味

VINは、大きく分けて以下の3つのセクションで構成されています。

1. 国際製造者識別子（WMI: World Manufacturer Identifier）

最初の3桁は、WMIで、製造メーカーを識別します。世界中のメーカーに固有のコードが割り当てられています。

• - 各国の記号で始まり、メーカーを特定できます。例えば、1GMはアメリカのゼネラルモーターズを示します。
• - 年産500台未満のメーカーは、特定の桁に「9」を使用します。
• - メーカーによっては、車両の種類（バス、トラックなど）や社内区分を表す文字を使用する場合もあります。

2. 車両記述区分（VDS: Vehicle Descriptor Section）

4桁目から9桁目はVDSです。車種、ボディタイプ、エンジン型式などの情報を表します。メーカーごとに独自の方式が用いられています。

• - 8桁目は、複数のエンジンが搭載可能な車種ではエンジン型式を示す場合が多いです。
• - 9桁目はチェックディジットで、VINの誤りを検出するために使用されます。北米では必須です。

3. 車両識別子区分（VIS: Vehicle Identifier Section）

10桁目から17桁目はVISです。製造番号やオプション情報などを含みます。メーカーによって内容は異なりますが、多くの場合、製造順序を表す連続番号です。

• - 10桁目は、北米では製造年を表します。
• - 11桁目は、北米では製造工場を表します。
• - 最後の5桁は、北米では数字である必要があります。

チェックディジットの計算方法

チェックディジットは、VINの誤りを検出するために使用されます。計算方法は以下のとおりです。

1. チェックディジットを除いた16桁の英数字を、対応する数値に変換します。(I、O、Qは使用されません)
2. 各桁に、あらかじめ定められた重み付け係数を掛けます。
3. 全ての積を合計します。
4. 合計値を11で割った余りを求めます。
5. 余りが10の場合はチェックディジットは「X」、それ以外は余りの数値がチェックディジットとなります。

チェックディジットが一致しても、VINが正しいとは限りません。あくまで誤りの可能性を検出するものです。

VINと車両履歴情報

VINを利用して、車両の盗難歴、事故歴、欠陥などを確認できるサービスが、一部の国で提供されています。中古車購入の際には、これらのサービスを活用することが重要です。

まとめ

VINは、自動車を識別するための重要なコードです。その構成や計算方法を理解することで、中古車選びなどに役立ちます。VINの情報は、車両履歴の確認や、自動車業界の様々な場面で活用されています。

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