車塚古墳 (壬生町)

車塚古墳（くるまづかこふん）

車塚古墳は、栃木県下都賀郡壬生町に位置する円墳で、国の史跡に指定されています。別名、壬生車塚古墳とも呼ばれ、下野古墳群の一部を構成しています。この古墳は、栃木県南部、黒川左岸の台地上に築かれ、隣接する牛塚古墳とともに、この地域の歴史を今に伝えています。

概要

車塚古墳は、直径84メートル、高さ約11メートルと、栃木県内で最大級の円墳です。墳丘は3段に築成されており、特に1段目は平坦な基壇状になっているのが特徴で、これは下野地方特有の「下野型古墳」の特徴を示しています。墳丘の表面は川原石で葺かれており、多数の須恵器（長胴甕）が発見されています。また、墳丘の周囲には二重の周濠が巡らされており、古墳全体の直径は約135メートルにも及びます。

埋葬施設は、南南西方向に開口する横穴式石室です。石室は凝灰岩の巨大な一枚石で構築されており、玄室と羨道から成ります。その構造は、古代の高度な技術力を物語っています。

築造時期は、古墳時代終末期の7世紀前半頃と推定されており、壬生地域の古墳群の中では、牛塚古墳に続く最後の大型古墳と位置づけられています。その規模の大きさから、古代下野地域の政治情勢を考察する上で重要な古墳とされています。

歴史

車塚古墳は、江戸時代の古文書にもその存在が記録されています。1926年（大正15年）に国の史跡に指定され、1978年（昭和53年）には周堤部分が史跡範囲に追加指定されました。2009年度には範囲確認調査が実施され、外周溝の存在が確認されました。さらに、2014年から2016年にかけて、発掘調査が行われ、古墳の詳細な構造が明らかになりました。

墳丘

墳丘は3段構成で、1段目は直径84メートル、2段目は直径52メートル、3段目は直径32メートルです。周濠底からの高さは約11メートルを測ります。特に1段目の平坦面は幅広く、下野型古墳の特徴をよく表しています。墳丘の周囲には周濠と周堤が巡らされ、その外側には外周溝が設けられています。墳頂部からは、約50個の須恵器の長胴甕が発見されており、これは墳丘の装飾として注目されています。

埋葬施設

埋葬施設である横穴式石室は、南南西方向に開口しています。石室の規模は、玄室が長さ3メートル、幅2.8メートル、高さ2.3メートル、羨道が長さ2.4メートル、幅2.5メートル、高さ2.3メートルです。石室の石材は凝灰岩の切石で、玄室の両側壁、奥壁、天井、羨道の両側壁、天井はそれぞれ一枚の石で構成されています。玄室の床面は、墳丘1段目（基壇面）に位置し、平面形はほぼ正方形です。

文化財

車塚古墳は、1926年（大正15年）2月24日に国の史跡に指定され、1978年（昭和53年）3月14日には史跡範囲が追加指定されました。

関連施設

車塚古墳に関する資料は、壬生町立歴史民俗資料館で展示されています。

参考文献

史跡説明板（壬生町教育委員会、2012年設置）
大金宣亮「車塚古墳」『日本古墳大辞典』東京堂出版、1989年。
「車塚古墳」『日本歴史地名大系 9 栃木県の地名』平凡社、1988年。
「車塚古墳」『国指定史跡ガイド』講談社。

関連文献

壬生町立歴史民俗資料館 編『車塚古墳 -範囲内容確認調査-（壬生町埋蔵文化財調査報告書 第25集）』壬生町教育委員会、2010年。
壬生町立歴史民俗資料館 編『栃木県壬生町 牛塚古墳・車塚古墳I（壬生町埋蔵文化財調査報告書 第30集）』壬生町教育委員会、2018年。
壬生町立歴史民俗資料館 編『栃木県壬生町 壬生車塚古墳II -国指定史跡保存活用計画書作成に伴う学術発掘調査-（壬生町埋蔵文化財調査報告書 第34集）』壬生町教育委員会、2022年。

関連項目

牛塚古墳 (壬生町)
桃花原古墳
丸塚古墳 (下野市)

外部リンク

車塚古墳 - 国指定文化財等データベース（文化庁）
車塚古墳 - 栃木県教育委員会事務局文化財課「とちぎの文化財」

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