車山神社

長野県茅野市北山に位置する車山神社（くるまやまじんじゃ）は、霧ヶ峰の最高峰である車山の山頂、標高1,925メートルという極めて高所に鎮座しています。この厳しい自然環境に耐えうるよう、社殿は堅固な石造りとなっています。

祭神

この神社で祀られている神々は、公式サイトによると主祭神として、山の神である大山津見神（おおやまつみのかみ）と、信濃国の開発神であり諏訪大社の祭神の一柱である建御名方神（たけみなかたのかみ）の二柱です。さらに、現地に設置された案内板には、建御名方神の后神とされる八坂刀売神（やさかとめのかみ）も合祀されているとの記述が見られます。

歴史

車山神社の起源は、昭和初期にまで遡ります。当時、霧ヶ峰の一角であるガボッチョでスキー場が整備された際、茅野市北大塩区の人々によって建立され、スキーヤーの安全を願って大山津見神を祀っていた「スキー神社」がその前身とされています。その後、車山高原が観光地として開発されるにつれて、この神社は現在、社が立つ車山山頂へ遷宮されました。そして、地域における信仰の中心である諏訪大社の神々、建御名方神と八坂刀売神が合祀され、現在の車山神社の形が整えられました。標高1,925メートルという、他の神社には類を見ない高地に鎮座していることは、この神社の大きな特徴の一つです。社殿が石造りであるのも、冬期の激しい風雪に耐えるための工夫です。比較的新しい動きとしては、2019年（令和元年）の冬から絵馬の授与が開始され、参拝者が願いを込めて奉納できる絵馬掛け台も境内に設置されています。

祭事

車山神社では、年間を通していくつかの特色ある祭事が行われます。

山開き祭（春）: 春の訪れと共に、山のシーズンが始まることを祝い、登山者や地域の安全を祈願する開山祭です。
車山御柱祭: 諏訪大社の御柱祭が催される寅年と申年と同じ年に執り行われる小宮祭です。この祭事の最も特徴的な点は、一般的な御柱祭が山から木を里へと曳き降ろすのに対し、車山御柱祭では、山頂にある社殿を目指して御柱を上へと曳き上げるという、全国でも類を見ない形式で行われることです。合計4本の柱が建てられますが、そのうちの1本（一之御柱）は、機械を使わず人力のみで曳き上げられます。祭事当日は、神職を先頭に、ラッパの音を響かせながら、約300メートル下の地点から参加者一同が力を合わせて御柱を曳き上げます。柱が所定の位置に建てられると、神職による最敬礼が行われ、それに続いて参加者全員で万歳を唱和し、成功を喜び合います。この御柱祭は、比較的新しい歴史を持ち、地域の観光開発と密接に結びついて生まれた祭事ですが、日本の御柱祭の中で最も標高の高い場所で行われるものとして、その独自性が際立っています。
冬の山開き祭: 冬季に車山高原スキー場が開場する際に、スキー場利用者や関係者の安全を祈願して行われる祭事です。
車山火祭り: 地域に古くから伝わる天狗伝説に由来する祭事です。この伝説では、天狗が灯火を用いて山中で迷った人々を安全な場所へ導いたとされており、火祭りはその故事にちなんで、夜の山を幻想的な灯火で彩ります。

交通アクセス

車山山頂へ向かうには、車山高原リフトを利用するのが最も一般的で便利な方法です。リフトを降りれば、ほどなく神社の鳥居や社殿が見えてきます。

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