輸入車ガイドブック

輸入車ガイドブック：日本の輸入車市場を彩った1冊の歴史

『輸入車ガイドブック』は、日刊自動車新聞社が長年にわたり発行していた、日本の輸入車に関する総合的な情報誌でした。毎年1回発行され、翌年の西暦を冠したタイトル（例：2018年発行分は『2018輸入車ガイドブック』）で刊行されていました。2017年末発行の2018年版を最後に休刊となり、現在では入手困難な資料となっています。

掲載内容：多様な輸入車の魅力を網羅

本ガイドブックは、日本で正規輸入販売されている乗用車をほぼ網羅していました。ただし、日本自動車輸入組合（JAIA）に加盟していないインポーターの車両は掲載対象外でした。初期の版には、商用車や日本メーカーの逆輸入車も掲載されていた時期もありました。

掲載写真には、日本仕様車とは異なる本国仕様の写真が用いられることもありました。左ハンドル仕様やマニュアルトランスミッションなど、日本で販売されていない仕様の写真が掲載されており、その旨は巻頭に断り書きとして記載されていました。

表紙デザインも年によって変化しました。初期は特定の車種が表紙を飾るスタイルでしたが、後に各ブランドのエンブレムを掲載するスタイル、そして再び特定車種またはイラスト調の表紙へと移り変わりました。

名称の変遷：時代の流れを反映

『輸入車ガイドブック』の起源は、1964年に発行された『'65外車アルバム』に遡ります。アメリカ車中心の構成でしたが、現在では輸入されていないメーカーの車両も掲載されていました。その後、『外車ショウガイドブック』を経て、『外国車ガイドブック』へと名称を変更。1981年版からは『輸入車ガイドブック』となり、現在に至るまでこの名称が定着しました。この名称変更の歴史は、日本の輸入車市場の拡大と変化を反映していると言えるでしょう。

記載順と価格：時代の変化に対応

初期の版では、国名別にメーカーが掲載され、アメリカ、イギリス、ドイツといった順に並べられていました。韓国車や逆輸入車は最後に掲載されるなど、当時の輸入車市場の構造が反映されています。車両価格は本文ではなく巻末に記載されるのが一般的でした。

2000年版からは、国別ではなくブランド名のアルファベット順に変更されました。これはダイムラー・クライスラー（現メルセデス・ベンツ・グループ）など、国籍が複雑なメーカーが増加したためと考えられます。この変更は、国際化が進む輸入車市場の状況を反映したと言えるでしょう。

販売と頒布：モーターショーと書店で入手可能

『輸入車ガイドブック』は、東京モーターショー（現在のジャパンモビリティショー）開催時には会場で先行販売され、その後全国の書店で販売されていました。モーターショー開催のない年は、毎年11月頃に発売されていました。地方で開催される輸入車ショウ会場でも販売され、来場者プレゼントとして配布されることもありました。

CD-ROM版：デジタル化への対応

1997年から数年間は、パソコン用CD-ROM版『Imported Cars Navigator』（Windows/Macintosh両対応）も発行されていました。これは、デジタル化が進む時代のニーズに対応した試みと言えるでしょう。

まとめ：日本の輸入車史を語る貴重な資料

『輸入車ガイドブック』は、単なる輸入車のカタログではなく、日本の輸入車市場の歴史を語る上で貴重な資料です。その変遷は、日本の自動車文化や経済状況の変化を反映しており、自動車史研究においても重要な役割を担っています。現在では入手困難な書籍ですが、その内容を知ることで、日本の自動車文化をより深く理解することができるでしょう。

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