辻博之

辻博之は、1984年2月10日生まれの日本の指揮者です。東京藝術大学音楽学部声楽科を卒業後、オペラ指揮者としてのキャリアをスタートさせました。大学在学中から、著名な指揮者のもとでオペラの副指揮や合唱指揮を務め、多くのオペラ制作に携わりました。国内の様々な劇場で経験を積み、その実力を磨きました。2013年には大田区民オペラを指揮し、オペラ指揮者としてデビュー。ロッシーニの「チェネレントラ」や多くの新作初演を指揮するなど、そのレパートリーは古典から現代作品まで幅広く、深い歌への理解に基づいたアンサンブル作りが特徴です。

2012年には、一人芝居と札幌交響楽団メンバーによるアンサンブルによる劇作品「年々去来」を指揮し、演劇分野にも進出。その後も、「ジョンとジョー」「怪物」「鯨よ、私の手に乗れ！」などの演劇作品の作曲を手掛け、オリジナルのミュージカル作品にも取り組むなど、演劇的な解釈に基づいた劇音楽への取り組みが高く評価されています。

合唱指揮者としても、その才能を発揮しています。慶應ワグネル・ソサイエティ男声合唱団などの著名な合唱団の客演や、東西4大学男声合唱連盟合同合唱の指揮を務めるなど、多くの合唱団を指導。関東を中心に10の団体の指揮者、客演指揮者、音楽監督を歴任しています。オペラの合唱指導においても、その卓越した力量は高く評価されており、合唱指揮を務めたオペラ「白虎」では、その合唱を「見事というほかはないアンサンブルと力感であった」と評されました。

オーケストラとの共演も数多く、2011年には千葉県文化振興財団25周年記念「カルミナ・ブラーナ」で総勢350名の出演者をまとめ上げ、成功に導きました。2017年にはオーケストラ・アンサンブル金沢の定期演奏会でデビューし、その後も同オーケストラとの共演を重ねています。Avex classics international主催のアマデウスライヴ(オーチャードホール、兵庫県立芸術文化センター等)日本ツアーや、Ditto Orchestra,Seoul motetto choirとの韓国ソウル芸術の殿堂での公演も成功させました。その他にも、九州交響楽団、読売日本交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、大阪フィルハーモニー交響楽団、札幌交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団、京都市交響楽団など、国内の主要オーケストラとの共演を重ねています。

2021年には、新国立劇場オペラ研修所終了公演でチマローザの「悩める劇場支配人」を指揮し、イギリスのオペラ専門誌『オペラ』で「優雅かつ的確な細やかさで、チマローザの音楽に脈々と流れる歓喜を引き出した」と評され、オペラブッファ指揮者としての評価を高めました。また、同年10月には東京芸術劇場にて、オペラ「夕鶴」新演出（演出：岡田利規）を指揮しました。オペラ、合唱、オーケストラと幅広い分野で活躍を続ける、日本を代表する指揮者の一人です。

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