辻正行

辻 正行（つじ まさゆき）について

辻正行は、1932年8月5日に日本の石川県江沼郡山中町で生まれた合唱指揮者です。彼は、合唱音楽の発展において大きな影響を与え、日本の音楽界における重要な人物とされています。彼は石川県立大聖寺高等学校から武蔵野音楽大学に進学し、声楽を学びました。同大学を卒業後、専攻科を修了し、NHK東京放送合唱団に加わりましたが、1965年にはフリーの合唱指揮者として独立し、以降は自らの理念に基づいた活動を展開していきました。

音楽活動と業績

辻は特に作曲家高田三郎との親しい関係を築き、高田の代表作品である「水のいのち」や「心の四季」の初演を手掛けるなど、日本の合唱曲の普及に努めました。また、彼は多くの邦人作曲家の作品を紹介し、その活動を通じて多くの新しい作品の初演にも関与しました。独自の指揮スタイルで、彼が指導した合唱団は「TCF（ツジ・コーラス・ファミリー）」として組織され、全日本合唱コンクール全国大会で何度も金賞を受賞しました。

特に1984年には合唱団の最優秀指揮者として「コーラス・オブ・ザ・ワールド賞」を受賞し、そのキャリアの中での指揮者としての地位を一層確固たるものとしました。彼はオーケストラとの共演も多く行い、海外での演奏活動においても注目され、2002年には第6回世界合唱シンポジウムで日本代表として大久保混声合唱団を指揮する機会を得ました。これにより、彼の名は国内外に広がり、合唱界の巨星としての地位を確立しました。

協会での役割と受賞歴

辻は日本合唱指揮者協会の第6代理事長（1994年～2004年）や、全日本合唱連盟の副理事長および相談役を務めるなど、組織運営にも積極的に関与しました。また、東京都合唱連盟の理事長および顧問も歴任し、合唱界全体の発展に貢献しました。1998年には、社会貢献文化功労賞を受賞し、2003年11月1日に彼はこの世を去りましたが、その業績は今もなお輝いています。彼は死後、11月28日に勲五等双光旭日章を受章しました。

現在、全日本合唱コンクール静岡県大会では彼の業績を称え、邦人作品の合唱曲に優れた演奏を行った団体に「辻正行賞」が贈られています。

家族とその後

辻正行の家族も音楽の道を歩んでいます。長男の辻秀幸は合唱指揮者として東京で多くの活動を行っており、全日本合唱コンクールやNHK全国学校音楽コンクールなどの審査員としても知られています。次男の辻志朗はピアニストであり、2003年の全日本合唱コンクール全国大会では、父の代わりに大久保混声合唱団を指揮しました。三男の辻裕久は声楽家として活躍しており、彼ら全員が合唱との深いつながりを持っています。また、彼らの配偶者も音楽の分野で活躍しています。

辻正行の業績や彼の音楽への情熱は、家族に受け継がれ、合唱音楽の発展に貢献し続けているのです。彼の軌跡は、今後も多くの音楽家に影響を与え続けることでしょう。

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