近代秀歌

『近代秀歌』

『近代秀歌』（きんだいしゅうか）は、鎌倉時代前期の1209年に、源実朝からの依頼を受けて藤原定家によって執筆された歌論の書です。この作品は、和歌についての深い洞察を提供するもので、時に「詠歌口伝（えいがくでん）」とも称される重要な文献となっています。

作品の構成

本書は、内容が二つの部分に分かれています。前半部では、和歌の歴史に関する批評が展開され、良い和歌を詠むための方法として本歌取りの論が詳細に述べられています。本歌取りとは、以前の和歌を基にして新しい和歌を創作する技法で、和歌における独自性や創造性を強調するものです。

後半部に目を向けると、実際に秀逸な和歌の例が挙げられています。流布本では27首が収録されていますが、岩波文庫の『中世歌論集』に含まれる定家自筆本では、なんと68首もの和歌が紹介されています。これらの和歌は、当時の著名な歌人である源経信、源俊頼、藤原基俊、藤原顕輔、藤原清輔、藤原俊成の作品から選抜されており、特に優れた和歌とされています。

定家の歌論の重要性

『近代秀歌』はその内容の簡潔さと要点のわかりやすさから、藤原定家の歌論を学ぶための重要な文献と位置づけられています。本書を通じて、和歌に対する理解を深めることができ、それに基づいた創作活動も促されるでしょう。

また、この著作は日本の中世文学史においても重要な役割を果たしており、和歌の技法やその背景を学びたい人々にとって欠かすことのできない資料となっています。

参考資料

• - ブリタニカ国際大百科事典『近代秀歌』
• - 百科事典マイペディア『近代秀歌』
• - 岩波文庫『中世歌論集』解題

関連項目

• - 日本の中世文学史
• - 詠歌大概
• - 六歌仙

このように、藤原定家の『近代秀歌』は、和歌を学ぶ上での貴重な資源であるだけでなく、後の詩作りにも影響を与える重要な歌論書なのです。

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