近江鉄道モハ135形電車

近江鉄道モハ135形電車とは

近江鉄道モハ135形電車は、かつて近江鉄道に在籍していた通勤形電車です。この形式は、京浜急行電鉄（京急）の400形電車の旧車体を再利用して製造されました。本形式は、モハ135形と固定編成を組んだクハ1210形とともに運用されました。

導入の背景

1960年代、近江鉄道では老朽化した車両の更新が課題となっていました。そこで、京急400形が車体更新によって不要となった旧車体を、西武所沢車両工場を通じて4両分購入しました。1966年から1967年にかけて、近江鉄道の自社工場で改造が行われ、モハ135形電車として竣工しました。

改造内容

モハ135形電車は、京急400形の旧車体をベースに大幅な改造が施されました。主な改造点は以下の通りです。

車体の短縮: 車体を中央で切断し、15m級2扉車体へと短縮されました。
床下機器の換装: 床下機器は、近江鉄道のストック品や、元西武311系クモハ311・326の解体発生品に交換されました。
運転台の増設: モハ136・137については、連結面側に運転台が増設され、両運転台化されました。これにより、モハ136・137は単独での運行も可能となりました。

両運転台化された車両は、増設された運転台側が貫通構造のままであり、貫通幌枠を避けるために一段上がった特異な雨樋形状がそのまま残されました。このため、前面から見た印象は前後で大きく異なっていました。また、両運転台車は、米原寄り運転台直後の座席が撤去され、窓内側に保護棒が追加されるという改造も施されました。これは、郵便荷物合造車であるモユニ10の代用として運用するためでした。

車籍上の扱い

モハ135・クハ1210は、車籍上はモハ133形モハ133・クハ1216の改造名義とされました。一方、モハ136・137は自社工場製の新車扱いとされています。

運用と廃車

モハ135・クハ1210は、事実上固定編成として運用されました。モハ136・137は、多賀線などにおける区間運用や、増結用車両として使用されました。これらの車両は、大きな改造を受けることなく運用されましたが、車体の老朽化が進んだため、1978年6月30日にはモハ135・クハ1210が500系モハ504・クハ1504に名義を譲り、事実上廃車となりました。その後、1981年5月にはモハ136が500系モハ505に名義を譲り、最後に残ったモハ137も1983年5月に500系モハ506に名義を譲って廃車となり、モハ135形は形式消滅しました。

まとめ

近江鉄道モハ135形電車は、京急400形の旧車体を再利用したユニークな車両でした。短期間の活躍でしたが、その特異な形態と、近江鉄道の歴史の中で重要な役割を果たしました。特に、両運転台化された車両の前面形状の違いは、鉄道ファンにとって興味深いポイントです。

参考文献

井上広和・高橋摂『カラーブックス 日本の私鉄24 近畿』保育社、1983年。ISBN 978-4586505982。
「鉄道ピクトリアル」鉄道図書刊行会
白土貞夫「私鉄車両めぐり83 近江鉄道下」『鉄道ピクトリアル』通巻第240号、鉄道図書刊行会、1970年8月、66 - 76頁。
近江鉄道特集各号
1998年7月号（通巻656号）『他社へ行った京急の車両』 P205

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