近藤勇五郎

近藤勇五郎について

近藤勇五郎（こんどう ゆうごろう）は、幕末から明治時代にかけて活躍した剣客であり、天然理心流剣術の第5代宗主です。1851年12月24日に武州上石原村で、近藤勇の兄の二男として生まれました。旧姓は宮川で、後に勇の甥として婿養子となり、剣術の伝承に寄与しました。

幼少期と剣術の稽古

勇五郎は幼い頃から剣術に興味を持ち、宮川家の道場で天然理心流の剣術を習得しました。彼の剣術に関する教育は、後の人生に大きな影響を与えることとなります。文久3年（1863年）、彼の人生は劇的な変化を迎えます。近藤勇が浪士組として京都へ出発する際、勇の一人娘・たまとの許嫁となり、以降はたまと共に生活を共にしました。

幕末の動乱と家族の絆

戊辰戦争中、近藤勇が処刑されたという知らせを受けた勇五郎は、気持ちが沈みつつも板橋でその目撃をします。心の痛みを抱えつつも、勇の遺体を引き取るため、郷里に戻り、音五郎と共に勇を弔いました。この出来事は、彼の剣士としての決意をより強固にするものとなります。

新たな道場の設立

明治9年（1876年）に、たまと結婚した勇五郎は自身の剣術道場「撥雲館」を新設し、剣術の普及活動に尽力しました。明治16年（1883年）には長男・久太郎が誕生しますが、残念ながらその後すぐにたまがこの世を去ります。傷心の中で、彼は国分寺のたよと再婚しますが、姑・つねとのトラブルによって2年半程で再び離婚。この後、彼はかしと結婚し、再び家族を形成しました。

幕末の回顧と伝承

昭和初期、彼の人生は子母澤寛の取材を通じて幕末の回顧談を語る機会を得ます。これにより、幕末の激動の時代を生きた彼の視点や経験が記録として残り、次世代へと伝わることとなりました。

生涯の終わりと遺言

1933年2月23日、近藤勇五郎は享年83でこの世を去りました。彼は死の直前に「俺が死んでも線香はいらない、ただ、竹刀の音だけは絶やさないようにしてくれ」と述べ、その生涯の中で剣道に捧げた情熱を感じさせる言葉を残しました。

天然理心流の系譜

彼の死後、天然理心流剣術は6代目に桜井義則、7代目には近藤新吉（勇五郎の次男、後妻の子）が継承しました。新吉は警視庁の剣道助手としても活動しましたが、残念ながら昭和11年（1936年）に早世しています。このように、近藤勇五郎の影響は剣術の分野においても継承され、今なお重要な位置を占めています。

もう一度検索