近藤道生

近藤道生：激動の時代を駆け抜けた異才

近藤道生（こんどう みちたか）は、1920年2月2日に神奈川県小田原市で生まれ、2010年6月30日に90歳で生涯を閉じた、日本の海軍軍人、大蔵官僚、そして実業家です。その経歴は、激動の20世紀日本を象徴するかのように、多岐にわたる分野に及びます。

若き日の歩み

旧制小田原中学校、旧制武蔵高校を経て、1942年7月に高等文官試験行政科に合格。同年9月には東京帝国大学法学部政治学科を卒業という、エリートコースを歩みました。同月、大蔵省に入省し、理財局に配属されます。入省時の成績は必ずしもトップではなかったものの、その後の活躍を考えると、才能は入省時の成績だけでは測れないことを示しています。

海軍軍人としての経験

大蔵省入省後すぐに、海軍経理学校補修学生、海軍主計見習尉官となり、短期現役組（短現組）として海軍に従事します。1943年1月に海軍主計中尉、1944年5月には同大尉に昇進。カーニコバル島やペナン島に赴任し、戦時下を過ごしました。終戦後、抑留と復員を経て、1947年3月に大蔵省に復帰します。

大蔵官僚としての活躍

大蔵省復帰後は、池田勇人大蔵大臣秘書官（事務担当）を皮切りに、大臣官房秘書課長、銀行局総務課長、大阪国税局長などを歴任。1968年6月7日には大臣官房長、1970年3月3日には銀行局長に就任しました。1972年からは国税庁長官として、日本の税制を担う重責を担いました。特に銀行局長時代には、1971年の第一銀行と日本勧業銀行の合併（第一勧業銀行、現みずほ銀行）という、戦後初の大規模な銀行合併に関与し、その手腕を発揮しました。

博報堂社長への転身

1975年7月には、博報堂代表取締役社長に就任。国税庁長官経験者が広告代理店のトップに就任するという、異例の人事でした。これは、当時の博報堂が抱えていた経営上の課題を解決するために、近藤の手腕が求められた結果と言えるでしょう。社長就任後、前社長の逮捕という困難な状況の中、売上高を大幅に増加させ、その経営手腕を見せつけました。1983年には代表取締役会長、1994年からは代表取締役、2002年からは最高顧問を務め、博報堂の発展に大きく貢献しました。

多彩な趣味と著述活動

近藤は、茶の湯、読書、ゴルフを趣味とし、号を「平心庵宗道」としました。その教養の深さは、著書からも伺えます。『茶ごころ』、『平心庵日記　失われた日本人の心と矜恃』、『国を誤りたもうことなかれ』、『茶の湯がたり、人がたり』、『不期明日（ミヨウニチヲキセズ）私の履歴書』など、多岐にわたるテーマの著作を残しています。

その生涯と功績

近藤道生は、海軍軍人、大蔵官僚、そして実業家として、それぞれの分野で卓越した能力を発揮しました。その功績から、1982年に聖シルベステル騎士団長勲章、1992年には勲一等瑞宝章、1993年には日本宣伝賞大賞を受賞しています。2010年6月30日に急性心不全で逝去。その生涯は、激動の時代を生き抜いた、多才な人物の足跡として、今もなお多くの人々に語り継がれています。

映画作品への関与

近藤は、映画作品にも関わっており、1984年公開の「風の谷のナウシカ」、1985年公開の「ビルマの竪琴」に関わっていたことが記録されています。どのような形で関わっていたのかは不明ですが、その幅広い活動の一端を示すものと言えるでしょう。

外部リンク

近藤道生の関連情報については、以下のサイトでも確認できます。

日本映画データベース
allcinema
KINENOTE
MOVIE WALKER PRESS
映画.com
IMDb

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