近鉄長野線

近鉄長野線について

近鉄長野線は、大阪府羽曳野市の古市駅から河内長野市の河内長野駅までを結ぶ、近畿日本鉄道の鉄道路線です。沿線には住宅地や大学、高校などが多く、南大阪線と並んで大阪府南河内エリアの主要な通勤・通学路線となっています。

概要

長野線は、全長12.5kmの路線で、全線が大阪府内に位置しています。古市駅から富田林駅までは複線区間、富田林駅から河内長野駅までは単線区間となっています。全線が電化されており、直流1500Vで運行されています。

沿線には、眼病平癒で知られる瀧谷不動明王寺や、花火大会で有名なPL教団本部があります。また、南阪奈道路や国道309号などの主要道路との交差部が立体化されており、交通の円滑化が図られています。

2023年6月には、喜志駅 - 富田林駅間の府道美原太子線との交差部付近で進められていた高架化工事が完了し、より安全で快適な鉄道利用が可能になりました。

ICカードは、PiTaPa、ICOCA、Suicaなど全国相互利用の乗車カードが利用可能です。以前はスルッとKANSAI対応カードやJスルーカードも利用できましたが、現在は取り扱いが終了しています。

長野線は、1960年代中頃まで腕木式信号機を使用していましたが、ATS化に伴い色灯式信号機に置き換えられました。

路線データ

路線距離（営業キロ）：12.5km
軌間：1067mm
駅数：8駅（起終点駅含む）
複線区間：古市 - 富田林間
電化区間：全線電化（直流1500V）
閉塞方式：自動閉塞式
交換駅：滝谷不動駅
最高速度：100km/h
管轄：大阪統括部（旧天王寺営業局）

沿線概況

長野線は全区間で国道170号と並走しています。

古市駅を出発すると、南大阪線が左に分岐し、長野線は真っ直ぐ南下します。古市検車区への入出庫線が右に分かれ、旧国道170号をアンダーパスすると、住宅街の中を走行します。南阪奈道路と立体交差すると、富田林市に入り、喜志駅に到着します。

喜志駅は、大阪芸術大学や太成学院大学などの最寄りの駅で、朝夕は学生で賑わいます。喜志駅を出発すると、田畑や住宅街、工場が混在する風景が広がります。現在、府道美原太子線との交差部付近では立体交差化工事が進められており、この区間は仮線を走行します。富田林市街に入ると、線路は大きくカーブして富田林駅に到着します。

富田林駅は、PL教団本部の最寄り駅で、毎年8月1日にはPL花火芸術が開催されます。富田林駅以南は単線となり、この駅で折り返す列車も多くあります。

富田林駅を出発し、左にカーブすると富田林西口駅に到着します。富田林西口駅は、富田林市役所などの官公庁街や、富田林高校などの学校が近くにあり、朝ラッシュ時には混雑します。

その先は、富田林の住宅街を走行し、高架を上って川西駅に到着します。川西駅を出ると、すぐに国道309号と立体交差して再び地上区間となります。線路はゆるやかに左へカーブし、次第に田園風景が広がります。右へカーブすると、滝谷不動駅に到着します。滝谷不動駅は、瀧谷不動明王寺や大阪大谷大学の最寄り駅で、初芝富田林高校へのバスも発着しています。単線区間で行き違い設備があるのはこの駅のみで、終日列車交換が行われます。

滝谷不動駅を出ると、線路はカーブが多くなります。河内長野市に入ると住宅街を走り、次第に左手に高台が迫ってきて汐ノ宮駅に到着します。汐ノ宮駅を出ると、線路は竹林の中を走り、旧国道170号を立体交差で跨ぎます。さらに林や工場の並ぶ区間を走り、河内長野市街に近づくと、南海高野線が合流して、終着の河内長野駅に到着します。

運行形態

長野線では、普通、準急、急行のすべての列車が各駅に停車します。ダイヤは基本的に大阪阿部野橋駅に直通するように組まれています。

昼間時間帯は、大阪阿部野橋駅発着の準急が1時間あたり4本運転されています。平日朝ラッシュ時には、河内長野発大阪阿部野橋行き急行や、大阪阿部野橋発富田林行き急行が運転されます。夕ラッシュ時には、大阪阿部野橋発河内長野行きや富田林発大阪阿部野橋行き急行が運転されます。

また、平日朝と夕ラッシュ時および早朝と深夜帯には、大阪阿部野橋駅 - 富田林駅間の準急が運転されています。普通列車は、富田林・河内長野行きが早朝・朝夕ラッシュ時、古市・大阪阿部野橋行きが朝夕ラッシュ時と深夜帯に運転されています。

南大阪線と直通する普通列車として、上りは深夜に河内長野発大阪阿部野橋行き、平日の朝ラッシュ終了時に富田林発大阪阿部野橋行きが、下りは平日の早朝に河内天美発、土休日の早朝に大阪阿部野橋発で河内長野行きが運転されています。

1時間あたりの本数は、複線区間の古市駅 - 富田林駅間はラッシュ時間帯に6本、単線区間の富田林駅 - 河内長野駅間では一部時間帯を除いて4本となっています。ほぼ終日、滝谷不動駅で列車交換が行われる「ネットダイヤ」を形成しています。

編成両数は、各駅のホーム有効長により、古市駅 - 富田林駅間が最長8両、富田林駅 - 河内長野駅間が最長5両に制限されます。そのため、ラッシュ時間帯には古市駅で車両の増解結を行う列車が多く見られます。古市駅 - 富田林駅間では、最短2両編成から最長8両編成の列車が運転されています。

2013年3月のダイヤ変更より、富田林駅での増解結作業はすべて古市駅で行われるようになりました。

臨時列車

毎年8月1日にはPL花火芸術が開催されるため、大阪阿部野橋駅 - 富田林駅間で多数の準急が運転されるなど、大規模な臨時ダイヤで運行されます。

また、大晦日から元旦にかけては、終夜運転が実施されています。

使用車両

長野線では、南大阪線系統の通勤形車両が使用されています。特急車両は、臨時列車を除き、基本的に入線することはありません。

歴史

長野線の歴史は、1898年に河陽鉄道が古市駅 - 富田林駅間を開業したことに始まります。その後、河南鉄道が路線を継承し、1902年には長野駅（現在の河内長野駅）まで全通しました。

1944年には、関西急行鉄道と南海鉄道の合併により、近畿日本鉄道の路線となりました。

長野線は、沿線の発展とともに、複線化や高架化などの改良が行われてきました。

駅一覧

長野線の駅は、すべて大阪府内にあります。

古市駅
喜志駅
富田林駅
富田林西口駅
川西駅
滝谷不動駅
汐ノ宮駅
河内長野駅

かつて存在した駅

西浦駅（古市駅 - 喜志駅間、1911年開業、1920年廃止）
旭ヶ岡駅（喜志駅 - 富田林駅間、1923年開業、1974年廃止）

主要駅の乗降客数（2015年調査）

古市駅：21,039人
喜志駅：17,612人
富田林駅：13,768人
滝谷不動駅：6,600人
河内長野駅：12,563人

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