近鉄11400系電車

近鉄11400系電車

近鉄11400系電車は、1963年4月に登場した近畿日本鉄道（近鉄）の特急形電車です。1960年代から1990年代にかけて近鉄特急で運用されたエースカーと呼ばれるグループに属し、10400系の増備車として製造されました。電算記号はAです。

概要

11400系は、2250系や6421・6431系などの旧型特急車の置き換えとサービス向上を目的に、10400系の改良増備車として1963年に3両編成10本が近畿車輛で製造されました。1965年には3両編成2本と2両編成3本が増備され、合計42両となりました。

基本的には10400系と同様に、電動車のモ11400形と制御車のク11500形の2形式で構成されています（後にク11520形が増備）。編成はMT比1:1だった10400系の出力不足や輸送需要を考慮し、モ11400形2両にク11500形を連結したMT比2:1の3両編成が基本となりました。ク11500形は需要に応じて解放が可能でした。

1969年には、日本万国博覧会開催を控え、全編成を3両編成化するため増結用としてク11520形3両が製造されました。この車両は、12200系に準じた車体形状と車内設備を持ち、偏心回転式リクライニングシートが装備され、シートピッチも980mmに拡大されました。シートラジオは当初から設置されていません。ク11520形の増備によって、本系列は合計45両となりました。

ク11500形・ク11520形は10100系と連結されることもあり、制御車を抜いた2両編成が名阪甲特急で運用されることもありました。名伊特急では3両+12200系など4両で組成された7両編成が多く見られました。10400系と11400系の混結編成も存在しました。

車体

10400系の使用実績を踏まえ、大幅な設計変更が加えられ、印象が一新されました。車体断面は冷房装置の変更で冷房用風洞部分の設計が変更され、屋根上に冷房装置を搭載するために屋根高さが若干低く抑えられました。前面形状も変更され、モ11400・ク11500形ともに側窓配置はdD8D1で、この点は10400系から変更されていません。

車内設備は、回転クロスシートが採用され、各席にはシートラジオが装備されていました（のちに撤去）。シートピッチは10400系の920mmから950mmに拡大されました。車内の色彩は2種類あり、緑または赤の座席モケットに市松模様の床が組み合わされました。ク11520形は木目の化粧板に赤の座席モケットなど12000系と同一のものが採用されました。車端部は、モ11400形（奇）が車内販売基地、その他の車両はトイレ・洗面所が設置されました。

冷房装置は東芝製RPU-1103分散式ユニットクーラー6基に変更され、冷房効率が向上しました。モ11400型（奇）にパンタグラフを2台装備しています。

主要機器

主電動機

主電動機は三菱電機MB-3064AC2が採用されました。この電動機は、絶縁材の耐熱性能を向上させ、磁気容量を拡大することで強トルク大出力化を実現しています。

駆動装置

駆動装置はWNドライブを踏襲し、歯車比は3.81に変更されました。

制御器

制御器は三菱電機ABFM-208-15DH電動カム軸式抵抗制御器が搭載されています。

台車

台車は、1次車が近畿車輛製シュリーレン式台車のKD-47・KD-47A、2次車が改良型のKD-47B・KD-47C、ク11520形がKD-68Bを装着しています。KD-68Bはダイアフラム式空気ばねによるダイレクトマウント台車です。

ブレーキ

ブレーキはHSC-D電磁直通ブレーキを搭載しています。

編成

編成はク11500形 - モ11400形（奇） - モ11400形（偶）の3両編成が基本ですが、ク11500形は連結・解放が可能でした。最短2両から4両の組成を組むことが出来ました。

改造・廃車

1977年に前面排障器の取り付けが行われ、1980年からは車体更新工事が始まりました。この工事で3両固定編成化、方向幕の設置、内装の変更などが行われました。座席は偏心回転式リクライニングシートに取り替えられました。

廃車は1993年から開始され、1997年3月16日にさよなら運転を実施し、同年内に全車廃車となりました。廃車後、座席や荷棚は16000系・16010系の更新に、冷房装置は伊賀線の860系に流用されました。

もう一度検索