近鉄22000系電車

近鉄22000系電車

近鉄22000系電車は、近畿日本鉄道（近鉄）が保有する標準軌の特急形車両です。1992年に、老朽化した10400系・11400系「エースカー」の置き換え用として登場しました。1両あたりの建造費は約1億7,500万円となっています。

概要

22000系は、21000系「アーバンライナー」や26000系「さくらライナー」で確立された高品質なデザインを継承しつつ、座席構造を25年ぶりに一新、バリアフリー対応設備を初めて導入するなど、様々な点で従来の近鉄特急車両とは一線を画しています。制御方式にはVVVFインバータ制御を採用、ボルスタレス台車や交流誘導電動機といった最新の機器も搭載しています。また、乗降扉は長年採用されてきた折戸式からプラグドアに変更されました。

16400系は、22000系の狭軌版として、南大阪線・吉野線の吉野特急に使用されています。1996年に2両編成2本が製造され、老朽化した16000系初期車の代替として活躍しています。

22000系は、1992年度のグッドデザイン賞を受賞しています。

車両愛称

22000系・16400系の車両愛称は「ACE」です。これは、advanced（一歩進んだ）、comfort（快適な）またはcommon（全線対応型の）、easy-operation（扱いやすい）またはexpress（特急）の頭文字から取られています。当初は「エー・シー・イー」と発音されていましたが、22000系が「エースカー」と呼ばれた10400系・11400系の代替として製造された経緯などから、「エース」という読み方も定着しました。後継の22600系「Ace」の公式な読みが「エース」であるため、現在では22000系（および16400系）を「エー・シー・イー」、22600系（および16600系）を「エース」と区別して呼ぶことが一般的です。

開発コンセプト

22000系の開発コンセプトは、以下の通りです。

外観および居住性が従来の水準から一歩進んだ車両であること
既存の特急車両と連結して運転が可能な車両であること
最高130km/hでの運転が可能であること
時代の要請に応じた、省エネルギー、省メンテナンスの車両であること
乗務員にとって扱い易い車両であること

車両デザインは、21000系と同様の体制で設計されました。

外観・車体構造

車体断面は卵形で、天井高さを確保するために屋根のカーブを小さくし、車体構造を高くしています。前面はスイング式の幌カバーを装着した貫通式とし、大型曲面ガラスを採用、丸みを帯びた形状とするなど、従来の車両からデザインを一新しました。標識灯、尾灯は車体埋込型で、素子の配列が大きく変更されています。

客室側面窓は、ガラス外付けの連続窓を採用しています。乗降扉はプラグドアに変更され、密閉性を高めると同時に、外観のフラッシュサーフェス化を実現しています。

車体塗装は、アスカオレンジとネイビーブルーの組み合わせですが、従来よりも鮮やかな色調となっています。前面はオレンジ一色となり、側面の紺色帯は連続窓部分のみのブロックパターンとなりました。

主要機器

制御装置には、近鉄特急車両として初めてVVVFインバータ制御を採用しています。主電動機は、近鉄特急車では初のかご形三相交流誘導電動機を採用しています。台車は、ボルスタレス式のKD-304形を新たに設計しました。ブレーキシステムは、回生ブレーキ併用電気指令式電磁直通空気ブレーキを採用しています。

車内設備

車内デザインは、21000系を踏襲しています。座席はバケット型シートで、ペダル回転式に変更されました。リクライニングは油圧式です。テーブルは肘掛けに内蔵されており、足置き台は新幹線100系電車の普通車と同様の形状です。4両編成のモ22200形には、車椅子対応座席と車椅子対応トイレが設置されています。

リニューアル

2015年11月から2020年3月にかけて、全編成を対象にリニューアル工事が実施されました。車体塗装の変更、内装の一新、座席の交換、トイレの改修などが行われています。

16400系

16400系は、南大阪線・吉野線で使用される狭軌仕様の特急車両です。基本性能は22000系に準じますが、運用区間の特性に合わせて、電動機や歯車比などが変更されています。2015年からは、車体更新工事が実施されています。

関連項目

近畿日本鉄道
近鉄特急
近鉄22600系電車

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