迫水久常

迫水久常について

基本情報

迫水久常（さこみず ひさつね）は、1902年8月5日に東京で生まれ、1977年7月25日に亡くなった日本の大蔵官僚、弁護士、政治家です。彼は正三位を叙され、勲一等を受賞しており、終戦詔書（通称「玉音放送」）の起草に関与したことで知られています。

職歴

迫水は大蔵官僚としてのキャリアをスタートし、大蔵省の銀行保険局長を経て、内閣書記官長（第51代）や経済企画庁長官（第9・10代）などさまざまな重要な役職を歴任しました。更には、郵政大臣（第17代）や鹿児島工業短期大学の初代学長といった公職に就きました。また、渋谷再開発協会の前身設立時には会長を務めるなど、地域の発展にも貢献しました。

学歴と初期の経歴

彼は東京府立第一中学校、第一高等学校、そして東京帝国大学法学部を卒業し、大蔵省に入省しました。その才能から「知性の迫水」とも称され、当時の革新官僚の代表的存在とみなされていました。企画院への出向を通じて統制経済の策定にも関わり、「企画院三羽烏」として毛里英於菟や美濃部洋次とともに名を馳せました。

終戦時の活動

終戦時、迫水は鈴木貫太郎内閣にて内閣書記官長として早期和平を模索しました。彼は決定的な御前会議において、ポツダム宣言の受諾へ向けた聖断を仰ぐための事務的手続きを担い、終戦詔書の起草にも関与しました。その結果、日本は終戦へと導かれることとなります。

戦後の経歴

戦後、迫水は公職追放の期間に実業家や弁護士としての活動を行い、その後は衆議院議員や参議院議員を務めました。郵政大臣、経済企画庁長官、自由民主党参議院幹事長といった要職を経て、政治界において影響力を持ち続けました。加えて、財団法人日本盲導犬協会の初代理事長を務めたり、多くの団体の会長としても名を知られています。

人物像と家族

迫水の家系は薩摩藩島津氏の庶家に属しており、母親の父は大久保利貞で、維新の三傑の一人である大久保利通の従兄弟にあたります。疾風の如き活動をしていた迫水は、戦後も多くの政治家や著名人と親交を深め、影響力を持ち続けました。

エピソード

彼は義兄である岡田内閣の岡田啓介元首相と親しい関係にあり、二・二六事件では岡田首相を救出するために奔走したエピソードも残されています。また、好角家としても知られ、1948年から井筒部屋の後援会会長を務め、関取の育成に貢献しました。

著作

迫水は「終戦時の真相と今上天皇の御仁徳」といった講演冊子や、二・二六事件から終戦に至るまでの記録を記した「機関銃下の首相官邸」を著し、その重要な証言を後世に伝えました。彼の政治経験や思想、戦争に対する考えは多くの書籍や映像作品に残されています。

迫水久常の伝説は、彼の政治家としての功績や人生から見ることができ、特殊な時代における重要な人物として、今なお語り継がれています。

もう一度検索