追加法

追加法（ついかほう）についての解説

追加法は、元々存在する法令に対して新たに付け加えられる法的規定を指します。この用語は特に日本の法制史において、御成敗式目を礎とした鎌倉幕府及び室町幕府の単行法令や、関連する規則に用いられます。

概要

鎌倉幕府第3代執権である北条泰時は、御成敗式目を制定した際に、その内容に不備が生じた場合には随時追加法を設けることを示唆しました。これは、初期の段階から法令が完全な形では存在しないことを前提としていたことを意味します。このように、形式的な「式目追加」や「追加」と呼ばれる法令が続々と制定され、その範囲も広がっていきました。

これにより、法令は単に条文が一括で示されるだけでなく、個別の案件に関する指示や判例、および奉行が必要とするさまざまな法令や規則をまとめた「追加集」など広範囲に及びました。これらの資料は、地区や時間により異なる効力を持つことがあり、同じ趣旨の追加法が繰り返し発表されることもあったのです。

追加法の影響

御成敗式目とは異なり、追加法は必ずしも全国の御家人に周知されるわけではなく、特定の訴訟を担当する奉行のみが知るような内容も含まれていました。このため、訴訟の場において追加法はそれなりの影響を及ぼすことはあったものの、厳密な法としての拘束力には欠けるとの見解も存在します。それでも、訴訟の当事者たちは追加法に関する情報を集め、それが古文書として寺社や他の家々に記録されることもありました。

室町幕府における追加法

室町幕府に関しても、御成敗式目は依然として有効とされ、その上に新たな法令が追加される形が採られました。特に、社会の変化に応じて、徳政令や撰銭令など、雑務に関連する法規が新たに設けられたことが特徴です。また、室町幕府の追加法は、鎌倉幕府の御成敗式目に対するものであり、建武[[式目]]そのものに対する追加ではない点に留意する必要があります。建武[[式目]]は新たな武家政権の基本方針を定めたものであるため、御成敗式目の改廃を意図したものではありません。

参考文献

• - 古沢直人「追加法」（『国史大辞典 9』（吉川弘文館、1988年） ISBN 978-4-642-00509-8）
• - 笠松宏至「追加法」（『日本史大事典 4』（平凡社、1993年） ISBN 978-4-582-13104-8）
• - 新田一郎「追加法」（『日本歴史大事典 2』（小学館、2000年） ISBN 978-4-09-523002-3）
• - 新田一郎「追加法」（『歴史学事典 9 法と秩序』（弘文堂、2002年） ISBN 978-4-335-21039-6）

まとめ

追加法は、法令体系の中で非常に重要な役割を果たし、時代の変化に応じて進化し続けるものでした。その内容は多様であり、特定の地域や時期に限定されたものも多く、今なお研究の対象とされています。

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