通霄神社

通霄神社は、台湾の苗栗県通霄鎮の虎頭山公園内に位置する神社です。この神社は、現存する台湾の神社の中でも特に珍しい存在として知られています。特筆すべきは、拝殿が第二次世界大戦後に台湾や福建省に見られる閩南様式に改築された点です。その結果、世界で唯一、閩南式の尖った屋根である「燕尾脊」を持つ日本式の神社という独特の姿になりました。

歴史

通霄神社の創建は、日本統治時代の昭和12年（1937年）に遡ります。当時の行政区分では新竹州苗栗郡通霄庄に属し、社格は無格社でした。主祭神は天照大神と北白川宮能久親王でした。この神社の建立は、日清戦争後の下関条約で日本が台湾を接収した際、北白川宮能久親王が近衛師団を率いて通霄鎮に駐留したことに由来します。この出来事を記念して地元住民が建てた「通霄御遺跡地記念碑」が、通霄神社建立のきっかけとなりました。

神社が完成した昭和12年1月22日と23日には、通霄神社だけでなく、日露戦役海軍望楼紀念碑、御遺跡碑の落成式も同時に行われ、盛大に祝賀されました。しかし、第二次世界大戦後、中華民国の国民政府が台湾を接収すると、神社は大きな変化を遂げます。神社内にあった「昭和」の文字や日本に関連する文物は破壊され、神主の宿舎や手水舎なども取り壊されてしまいました。一方で、石灯籠は一部が破壊を免れ、残存しています。

その後、当時の通霄鎮の第二鎮長であった唐長城は、拝殿を忠烈祠に改築しました。忠烈祠は戦没者を慰霊するための施設で、ここでは台湾の民族的英雄とされる鄭成功も祀られるようになりました。そのため、地元では鄭成功廟とも呼ばれています。また、民國81年（1981年）には、第219憲兵大隊の第3中隊が駐屯し、拝殿は軍の売店として使用されました。民國89年（1989年）に軍が撤退した後、付属の建物は民間人に占拠されました。

1999年には、921大地震によって建物が被害を受けましたが、2002年から修復工事が開始され、2005年に完了しました。しかし、社務所については、住人が転出を拒否したため、修復が行われていません。現在、社務所は陳氏によって占拠され、住居として使用されています。

建築

通霄神社の境内は、神主の宿舎（休憩所）、社務所、第一鳥居、手水舎、参道と石灯篭、第二鳥居、拝殿、幣殿、本殿といった建築物で構成されています。本殿は玉垣で囲まれており、かつては幣殿、拝殿ともに神明造でしたが、現在は本殿と幣殿は土台のみが残っています。拝殿は一部に木造建築が残るものの、外観は閩南様式に改築されています。かつて存在した手水舎は流造、社務所は入母屋造、宿舎（休憩所）は寄棟造でした。

アクセス

通霄神社へは、通霄駅から徒歩で約10分の距離にあります。


通霄神社は、その歴史と建築様式において非常にユニークな存在です。台湾における日本統治時代の名残であり、戦後の変遷を経て、現在の独特な姿に至っています。その歴史的な背景と建築的な特徴は、多くの人々に興味深く受け止められています。

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