連合艦隊司令長官 山本五十六

映画『連合艦隊司令長官 山本五十六』の概要

1968年に東宝が製作した映画『連合艦隊司令長官 山本五十六』は、太平洋戦争の重要な局面に立ち向かう山本五十六の生涯を描き出しています。この作品は、文部省選定映画であり、シネマスコープの形式で撮影され、併映作品として谷啓主演の『空想天国』がありました。

作品の背景

本作は、1967年に公開された『日本のいちばん長い日』を皮切りに、続く8.15シリーズの第2作となります。連合艦隊司令長官として対米戦争には否定的だった山本五十六が、やむを得ず戦争に突入する際の彼の思いや決断が描かれています。特に、真珠湾攻撃からガダルカナルの戦いに至る過程が、最新の特撮技術を駆使してリアルに表現されています。この作品で特撮を手掛けた円谷英二にとっては、空中戦を扱った最後の作品であり、新たな撮影手法も取り入れられました。

映画の主なあらすじ

ストーリーは、昭和14年（1939年）に始まります。この年、日本は日独防共協定を強化しようとしており、海軍次官の山本五十六はその流れに逆らっていました。山本は、長岡の川で逆立ちをしながら船に運ばれるシーンから物語は始まります。彼は三国同盟の成立を阻止しようと努力していましたが、時代の流れには逆らえず、連合艦隊司令長官として戦争の準備を進めることになります。

昭和16年、日本はアメリカと開戦する決意を固め、ついに真珠湾攻撃が実行されます。この奇襲は成功を収めますが、山本は空母がハワイにいないことに心を痛め、次なる戦略を模索します。ミッドウェー作戦の失敗やガダルカナル戦線における激しい戦闘は、彼の構想に大きな影を落とします。特に、ミッドウェー海戦では連合艦隊が深刻な打撃を受け、結果的に早期講和の道は閉ざされてしまいます。

ガダルカナル島の攻防戦では、陸軍との連携を図りながら必死に戦力を投入しますが、制空権を失う状況の中で次第に厳しくなっていきます。山本は、状況打開のために様々な策を講じますが、戦局は彼の望む方向へは進まず、戦隊の撤退を余儀なくされます。

キャストと制作

主演には三船敏郎が起用され、山本五十六の複雑な感情や決断を力強く表現しました。その他に、辰巳柳太郎や荒木保夫など東宝の実力派俳優が脇を固めています。映画の制作には、田中友幸が関与し、脚本には須崎勝彌と丸山誠治が担当しました。

特撮技術においても進化が見られ、戦闘シーンでは『ハワイ・ミッドウェイ大海空戦 太平洋の嵐』の流用フィルムや新規撮影されたミニチュアが駆使され、観る者にリアルさを伝えました。特に、当時の金額で1億円を投じたと言われる特撮は、本作品の重要な要素となりました。

総評

『連合艦隊司令長官 山本五十六』は、戦争という非常に困難な状況の中で、信念を持って行動する一人の指導者の姿を描いた作品です。作品からは、選択の重さや運命の無常さが深く伝わり、観客に強い印象を残します。また、制作されたミニチュアや特撮が生み出す迫力も、多くのファンに支えられる要因となっています。

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